映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「1秒先の彼女」感想

f:id:StarSpangledMan:20210626231153j:image

1秒先の彼女、観た。とってもチャーミングなSF。これぞ現代版「織姫と彦星」。シャオチーがスクリーンの中をドタバタと動きまわるだけで楽しいのだが、それだけでは終わらない。雑多な近代都市から、のどかな農村地域まで、台湾のおいしさが散りばめられている。バスの使い方が印象的だった。

f:id:StarSpangledMan:20210626231215j:image

しかし、後半の展開はアレでよかったのかと思わなくもない。妙な違和感を抱きつつ、まあ、とりあえず作品のトーンに乗っかって楽しむかと、気にしないことにしたけど。バスがとても良い。何もないが美しい道をすーっと進んでいく。いつかたどり着く終着駅に向けて。ポップな音楽が彩りになっている。

バスといえば個人的には金子由里奈の「眠る虫」なんだけれども。そこだけ時間が止まっているかのように幻想的なバスの車内と、車窓に映る夜景。あればいい映像だったな。あとウルトラQの「あけてくれ!」の異次元列車とかね。SFの中のバスはとてもいい働きをしてくれる。日常と非日常のスキマ。

まあまあチープな演出もあるのだが、そこは愛嬌として捉えよう。全然テイストは違うけど、大九明子の「勝手にふるえてろ」を思い出す。個人的にせっかく台湾ならもっとうまそうなメシが見たかった。豆花(トウファ)だって、見た目はわかるけど、ちゃんと見せてほしい。あ〜食べたい!ってなりたい。

意外とあんまりこういうテンションの恋愛映画って撮られてないんだよなと思った。主人公のシャオチーも、話を追うごとに魅力的に感じられてくる。恋する人は、何倍も可愛く見えるものなのだ。ちなみにキーナンバーになる「038」は、セリフにも出てくるけど「アホ」みたいな意味らしい。