「タヌキ計画」感想
タヌキ計画、みた。ベトナム出身のタンヤは日本人に化ける薬TANUKIを使って日常生活に溶け込むが…。アイデンティティを捨てないと生きられない世界、それでいてほのかに漂う白人コンプレックス。あまりに閉鎖的な日本社会を皮肉った作品。もう一捻りあってもよかったけど、着眼点が面白かった。
監督は台湾出身らしい。本作は高畑勲「平成狸合戦ぽんぽこ」にインスパイアされたようですね。着物の品の良さそうな女性が「外人の作った和食なんて食べたくない」と吐き捨てる場面がとても悲しい。ああいう言葉がまかり通ってしまう。設定は突飛だがファンタジーにはなってない。リアル過ぎて。
お話自体、なかなか救いがない。「世にも奇妙な物語」のエピソードのようなスケール感。タンヤと日本人の友だちが生春巻きを作る場面の妙なエロさ。ここで縮まった距離感が一気に離れるあのクライマックスでもう少し盛りがったら…。こういうテーマはもっと邦画で扱われてもいいと思う。