映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「叫びとささやき」感想

叫びとささやき、みた。病床のアグネスを見舞う姉妹。同じ空間にいながら、そこに家族の匂いは感じない。赤と黒の強烈なコントラスト。死が近づいても衰えぬ性。かえって生の方がグロテスクに映る。喪失によって繋がり、また離れていく姉妹の虚しさ。人生最…

「チワワちゃん」感想

チワワちゃん、みた。空虚で自滅的な青春。誰も「チワワちゃんとは?」の問いに答えられない。振り返ってみると何もないモラトリアム。少し身に覚えがある。しかし、ここで描かれる「酒と女と金」の大学生って2019年の世界とは少し違う気がする…と思ったら、…

「スキャンダル」感想

スキャンダル、みた。2016年にFOXニュースで起きたセクハラ告発事件の顛末を描く。家族や同僚たちも無関係ではいられない、守るべき生活や地位もある。それでも立ち上がるのは、仲間がいると信じているから。好き放題の権力者に立ち向かい、いびつな社会の構…

「6アンダーグラウンド」感想

6アンダーグラウンド、みた。うーん…2時間とは思えぬ長さ。フィレンツェでのカーチェイスはゴージャスで見応えたっぷりだったのだけど。チームモノとして面白くなりそうなところで終わってしまった。プールの決壊や磁石アクションなど、随所に見られるギミッ…

「スウィング・キッズ」感想

スウィング・キッズ、大傑作!朝鮮戦争下の収容所でダンスに打ち込む捕虜の物語。悲しいから踊る。居ても立っても居られなくて踊る。怒りに身を任せて踊る。踊りたいから踊る。踊りたいだけなのに、世界がそれを許さない。それでも舞台に立った瞬間、たしか…

「ミッドサマー」感想

ミッドサマー、超絶大傑作!恋人とその友人に連れられ参加したスウェーデンの夏至祭で起こる恐怖を描く。これは喪失と救済の物語だ。真夏の太陽に照らされ、禍々しく輝く生と死、人と人の精神が調和した世界。だが、最後に訪れるのは…。人によるだろうけど、…

「1917 命をかけた伝令」感想

1917 命をかけた伝令、みた。撤退命令を伝えるべく敵地を駆け抜けていく兵士の姿を描く。まるでTPSのプレイ動画を見ているような映像体験!汗と泥にまみれた塹壕の中を走り、死体だらけの無人地帯を這い進む。この世の地獄だ。映画が臭いを伝達できないメデ…

「アラジン」感想

アラジン、みた。冒頭のアラジンとジャスミンの出会い、狭い路地での逃走劇、ジーニーとの共謀、ホール・ニュー・ワールド…あたりまでは楽しい。けど、悪役の企みが明らかになり、ジーニーが主役になってからは完全に失速。そのあと一番盛り上がるのはエンデ…

「心の傷を癒すということ」感想

心の傷を癒すということ、全話見た。超絶大傑作。阪神大震災の被災者と向き合い、心のケアのあり方を考え続けた実在の医師の物語。常にそばに誰かの存在を感じること。余震が怖くて眠れない夜、家族が見つからない不安、自分を認めてくれない父。それでもひ…

「マルタの鷹」感想

マルタの鷹、みた。大傑作!黄金の鷹の像をめぐる争いに私立探偵スペードが挑む。これぞハードボイルドな佇まいのハンフリー・ボガート。些細なことには動じず、困難な場面でも己の美学を貫く。相棒を許した悪党はたとえ惚れた女でも許さない!とばかりにブ…

「転がるビー玉」感想

転がるビー玉、みた。再開発の進む渋谷で夢を追う3人。自信が持てず弱音も吐けない愛、どこへ行っても居場所がなく、埋められない寂しさを抱える瑞穂、天真爛漫に振る舞うがそんな二人と距離を感じている恵梨香。そして〈取り残される〉孤独を感じるのは若者…

「ハスラーズ」感想

ハスラーズ、みた。ウォール街の男を〈搾取〉するストリップクラブの女たちの友情を描く。華美で享楽的な世界の裏側は、ルール無用の狩りの場。ラモーナやデスティニーはただ消費されるだけの存在ではない。しかし、踊る側も、金をばら撒く側も、お金からは…

「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」感想

ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密、みた。大傑作!莫大な資産を遺して不審死を遂げた大富豪、館に集められた容疑者、腹の中の読めない探偵…。古典ミステリーの装いながらなかなか新鮮!白人富裕層の家族崩壊から見え隠れする苛烈な格差社会と移民問題…

「犬鳴村」感想

犬鳴村、みた。犬鳴トンネルを通ったひとりの女性の不審死から始まる怪奇現象の数々…。冒頭のPOVやエンドロールの演出は不気味さがあって好み。幽霊の映り込みのバリエーションが豊かで楽しい。全体的にそれほど怖さはない。そもそも主人公があんまり幽霊を…

「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」感想

ザ・ピーナッツバター・ファルコン、みた。プロレスラーを目指すザックとはぐれ者漁師のタイラーの奇妙な旅を描く現代版ハックルベリーフィンの冒険。あくまで自由に、夢に向かって進み続ける二人がたくましい!個々のエピソードに掘り下げ不足も感じるが、…

「酔うと化け物になる父がつらい」感想

酔うと化け物になる父がつらい、試写会にて。菊池真理子のエッセイを映画化。〈嫌い〉と〈憎い〉の違ってなんだろう?腹わた煮えくりかえるほど憎い。自分の人生から消えてくれとすら願う。それでも嫌いになれない。大嫌いなはずなのに、見捨てきれない。だ…

「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」感想

9人の翻訳家 囚われたベストセラー、みた。新作小説のネタバレを防ぐため地下室に集められた翻訳家たち。しかし、中身を盗んだという脅迫状が届いて…。リズムよく二転三転するストーリーに興奮し、散りばめられた「デダリュス」の断片に好奇心をくすぐられる…