「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」感想
ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密、みた。大傑作!莫大な資産を遺して不審死を遂げた大富豪、館に集められた容疑者、腹の中の読めない探偵…。古典ミステリーの装いながらなかなか新鮮!白人富裕層の家族崩壊から見え隠れする苛烈な格差社会と移民問題。ラストカットの意地悪さよ!
アナ・デ・アルマス演じる看護婦の余裕のなさと、焦りから生じる笑いが楽しい。「ウソをつくと吐き気を催す」という奇抜な設定が後半効いてくる。ダニエル・クレイグ=ブランのつかみどころの無さも良い。そしてクリス・エヴァンス。高潔なヒーローも良いけどお調子者やクズの役こそ輝く俳優だと思う。
アメリカって誰の国なのか、その土地や資産は誰が〈引き継ぐべき〉ものなのか。エスタブリッシュメントたちの偏狭で傲慢な態度。「我々の家族だから」の薄っぺらさ。そうやって世界を狭く、小さくしていこうとした先に何があるのか。もう〈偉大な父親〉は存在しないのだ。