映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「ひらいて」感想

ひらいて、観た。好きな人の好きな人に近づく少女の物語。良くも悪くも山田杏奈の「顔」に勝負を賭けた映画だ。目論見は成功しているが、それ以上にパンチのある映画だとは思えず…。他者とふれる「手」や境界線の淡さを現す「桜色」のモチーフは印象的。ただ…

「最後の決闘裁判」感想

最後の決闘裁判、観た。面白かった!「騎士の誉れ」のベールが一枚ずつ剥がされていく。お風呂に入らない貴族が香水でむりやり体重を消したみたいに、神の力や騎士の栄光とやらで、この野生的な世界の血生臭さは彩られている。だれもが「自分を正しい」と思…

「燃えよ剣」感想

燃えよ剣、観た。土方歳三の目線で語られる新撰組の物語。終盤の駆け足っぷりが気になるけど、二時間半という尺の制約を考えれば、よくまとまっていると思う。岡田准一の殺陣をたっぷり見られるし、池田屋事件や鳥羽伏見の戦いはお金かかってんな〜という迫…

「キャンディマン」感想

キャンディマン、観た。鏡の前でその名を五回呼ぶと男が殺しにやってくる…。地元に伝わる都市伝説をインスタレーションにした主人公は「彼」を甦らせてしまう。僕たちが「呪い」や「恐怖」で片付けてしまうものの先に、ホントは何かあるんじゃないかと思わせ…

「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」感想

男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花、観た。ファン人気が根強いのも納得。寅さんの「結婚」という禁忌にたびたび踏み込むリリー編の中でも特に核心に迫っている作品だ。束の間のユートピアともいうべき沖縄での「夫婦」生活に泣く。根無草のふたりにしあわ…

「DUNE/砂の惑星」感想

DUNE/砂の惑星、観た。いやぁ〜、ことしの映画でもっとも鈍重な作品の一つであることは間違いない。背景説明を並べただけの前半、リズム感皆無の編集に眠気を誘われたけど、物語の輪郭がはっきりして、ティモシー・シャラメが気高きプリンスとして覚醒する後…

「サマータイムマシン・ハズ・ゴーン」感想

「サマータイムマシン・ハズ・ゴーン」を観ている。タイムリープで何度も運命の相手と出会う上白石萌歌の「リマインド」が良い。この子のコロコロ変わる表情、ずっと観てられるんだよな。姉の萌音がブレイクした「君の名は。」をすこし思い出した。 おぎやは…

「ビルド・ア・ガール」感想

ビルド・ア・ガール、観た。試写にて。作家を目指すジョアンナは辛口音楽ライターとして雑誌デビューを果たすが…。若さゆえの全能感。はやくコイツを止めてくれ!と叫びたくなる痛々しさにそんな時期もあったと笑えるほど俺は青春したかなと。現役高校生の感…

「由宇子の天秤」感想

由宇子の天秤、観た。いじめ事件を追うドキュメンタリー監督の由宇子は、私生活で信念をゆるがす「事件」に直面し…。並走するふたつの「事件」をさまざまな角度から照らしてなお観客を混乱させない脚本さばき!だれも「観察者」ではいられない。真実は存在し…

「TOVE トーベ」感想

TOVE トーベ、観た。「ムーミン」を生んだトーベ・ヤンソンの恋と創作を描く。彼女はじぶんが偉大な作家になることを知らない。はじめは画家を目指していたこと、親の抑圧や恋人への嫉妬に苦しみながらあの世界観をつくりあげたこと。すべて初めて知ったけど…

「美しき結婚」感想

美しき結婚、観た。「私、結婚する!」と宣言してから好きになる相手をさがすサビーヌ。いや〜、絶対友だちになりたくないな…と思いつつ、カーキ色のクラシックカーを乗り回し、猪突猛進で迷惑かけまくる彼女から目が離せない。胸かきむしりたくなる痛々しさ…

「護られなかった者たちへ」感想

護られなかった者たちへ、とりあえずの感想。最後の10分で上映止まっちゃったけど、ほぼ締めのお茶漬けモードだったので。震災と疑似家族の切り口は、導入からほぼそのまま「岬のマヨイガ」でびっくりしたが、こちらは生活保護がテーマ。自己責任社会の矛盾…

「ロゼッタ」感想

ロゼッタ、観た。アル中の母とトレーラーハウスに暮らす少女を描く。ダルデンヌ兄弟がパルム・ドールを勝ち取った作品。ガツガツと歩くロゼッタの背中を追う手持ちカメラの撮影がとにかくすばらしい。戦争映画か自然ドキュメンタリーのよう。ラストカットの…

「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」感想

007 ノー・タイム・トゥ・ダイ、観た。英国の斜陽とジェームズ・ボンドというキャラクターの時代性に向き合ってきたシリーズ。なるほど、ダニエル・クレイグの花道としてこれ以上ない結論だ。スタイリッシュさとバカバカしさの行き来が絶妙で、やや長くても…

「イゴールの約束」感想

イゴールの約束、観た。「その手に触れるまで」のダルデンヌ兄弟。原点はここにあったのだと気づく。不法移民のアパートを仕切る強権的な父とその息子イゴール。最悪な環境で「善い選択」をするってすごく勇気が要る。ラストの沈黙は赦しなのか、それとも怒…

「飛行士の妻」感想

飛行士の妻、観た。はじめてのエリック・ロメール。好きな女に粘着する青年が、街中で見かけた彼女の元恋人を尾けまわす…。このフランソワという男がなかなか酷い奴だ。公園で出会った、彼をからかう女の子との会話劇が白眉。これが面白すぎて、終盤は「他人…

「MINAMATA ミナマタ」感想

MINAMATA ミナマタ、観た。心身に傷を負った戦争写真家が、再起をかけて水俣病を取材する。何度伝えても「戦争」はなくならない、カメラの前の被写体は苦しみ、死んでゆく。無意味のように思えても、繰り返される悲劇の前に立ち上がる。これを受け取ってあな…

「クーリエ 最高機密の運び屋」感想

クーリエ 最高機密の運び屋、観た。おもしろかった!キューバ危機前夜のソ連を舞台に、内通者の政府高官と核戦争回避に奔走したセールスマンの実話を描く。どんなに壮大な歴史的事件もその裏では一人ひとりの信念や、時にウェットな人間模様が渦巻いていたの…

「落穂拾い」感想

落穂拾い、観た。マルシェに捨てられた食材を拾うホームレスに着想を得て、デジタルカメラ片手に「現代の落穂拾い」を探す旅に出るドキュメンタリー。アニエス・ヴァルダのあらゆる被写体に対する好奇心、独特のユーモアでもって飽食と貧困の世界のグロテス…

「ベルリン・天使の詩」感想

ベルリン・天使の詩、観た。歴史がはじまる前からベルリンを見守ってきた天使が、永遠の命を捨てて人間の世界に降りたいと願いはじめる…。壁に分断され、戦争の傷痕生々しいベルリン。モノクロの静謐な質感が、カラー撮影の温かい空気に満たされる。その転換…

「総理の夫」感想

総理の夫、観た。最初から最後までなにもせず、ただ動揺してわめくだけの主人公にうんざりしてしまった。思考停止した中年の醜態を二時間見て、何を感じろというのだ。昭恵への当てつけだというならまだわかる。しかし、本来は昨今の政治への風刺だったであ…

「マイ・ダディ」感想

マイ・ダディ、観た。病に侵された娘を助けるために奔走する牧師を描く。ムロツヨシ初出演作。タイトル以外の情報を入れずに観たけど、大いに感動してしまった。とても丁寧に撮られていると思う。一男でもひかりでもなく、とある人物が嗚咽する場面にグッと…