「Mr.ノーバディ」感想

Mr.ノーバディ、みた。主人公のハッチがイカレている。バスでイキったチンピラを襲撃した時点で嫌な予感がしていたが、完全にオーバーキルだ。もはやロシアンマフィアの方に同情しながら見ていた。「この感覚が忘れられないんだ…」じゃあないんだよ。痛々しさが伝わる重量アクションは見応えあり。

冒頭の「退屈な日常」ダイジェストが好きだ。この手の映画の主人公は、平凡な生活を望んでいたはずなのに、また元の仕事に引き戻されてしまう悲哀が描かれがちだけど、この映画でその心配をする必要はない。「やっぱりこれなんだよなぁ…」ってイキイキしながら殺戮してる。戦慄した。

いやたしかに敵のユリアンは同情の余地なしの悪党だけれども（登場して１分で「コイツ嫌い！早く倒して！」と思わせるのはすごい）。それにしたってマフィアはほぼ被害者だと言っていいだろう。だって途中からハッチは復讐を「楽しんでいる」から。敵陣に乗り込んでステーキをたのしむ様は震えた。