舞台「夜は短し歩けよ乙女」感想
舞台「夜は短し歩けよ乙女」に行きました。最高。けっきょく気になる人をデートに誘えるのかどうなのかか、それだけの話なのに、なぜこんなにもワクワクするんだろう。モラトリアムの屈折をくどくど述べる先輩が愛おしく、京都の街を軽やかに飛びまわる黒髪の乙女にキュンとする。ちょっと泣いた。
久保史緒里のハリのある、天井まで伸びていきそうな声が、天真爛漫な乙女のキャラとここまで合うとは。彼女がテクテクと京都の街を歩くだけで、もう、こっちは心が弾んでしまう。歌上手かったなあ。ヘンな大人たちが近づこうと、全部そのエネルギーで跳ね除けてしまう。文化祭の「どっち!?」で爆笑。
中村壱太郎もよかったですね。女形ネタに笑う。前半、大学生の気持ち悪い感じを出すのはやはり難しいのかなと思ったが、終盤に掛けての熱量がすばらしかった。石田剛太は間の取り方が絶妙だったし、鈴木砂羽の豪胆な感じも好きだった。竹中直人のおふざけっぷりを生で見られたのも嬉しい。
原作は未読だが、終盤の展開ってどの程度舞台で味付けされてるんですかね。このご時世、強く感じる「ご縁」の話。人と人がつながり、またその関係が流転していく奇跡を、これ以上ない多幸感で描く。こういう風に世界が見えたら幸せだろうと思う。今回はミュージカル風だが、もっと舞台を見たくなった。