「ブラック・ウィドウ」感想
ブラック・ウィドウ、観た。面白かった!ナターシャって居場所のない孤独なスパイのイメージだったので、いい意味でそれが覆された。レッドルームの設定がふんわりしてたり、血に塗れた彼女の過去への踏み込みが今ひとつな気もしたけれど。あのヴィランのモデルはジェフリー・エプスタインだろうか。
世界の危機に立ち向かうっていうよりは(もちろん敵は悪者なのですが)あのクソ野郎潰しに行こうぜ!のテンションなのがとても良かった。ナターシャはレッドルームで身体を改造された過去や、かつては殺し屋だった事実がシリーズを追うに連れ忘れられていったが、本作は改めてそこを掘り下げている。
ナターシャはより慈悲深く、しかし、自らの過去を悔やむひとりの人間として描かれている。アベンジャーズの中だと「紅一点」になりがちで、ケンカの仲介役を担うオトナとして扱われてきたけど、今回は生意気な妹のエレーナが隣にいる。もっと人間臭くて、欠点もある人なのだとわかった。
タスクマスターはちょっと勿体なかった。この映画はナターシャの過去の清算的意味合いもあるのだが、レッドルーム/シールド時代の掘り下げが若干甘く、観客側が想像で補わなければならない箇所が多い。レッドルームもソ連のスパイ組織かと思ったらヒドラっぽいところあるし、どういう存在なのか謎だ。
何よりこの映画はエレーナの存在感だろう。正直、フローレンス・ピューがスカーレット・ヨハンソンを食ってすらいる。当代一の「末っ子」俳優と言えるだろう。自分を置いてけぼりにした姉に反発しつつ、美しい思い出を「本物」だと信じたい。いじらしいキャラである。
「自分で服選んだことない」と言いつつ、わりと凝った三つ編みの髪型にしているのがかわいい。もうちょっと緻密なスパイ劇になると思ったが、わりと個人行動の大味なアクション主体ではあった。繰り返し見たいと思うタイプの作品ではないものの、マーベル作品の安定感に浸される作品だと思う。