映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」感想

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ジョン・F・ドノヴァンの死と生、試写会にて。傑作!とあるスターが突然の死を迎えるまでを彼の〈秘密の文通友だち〉の目線で振り返る。ドランが繰り返し描いてきた〈母と息子〉のひとつのゴールかもしれない。偽りだらけの時代に真実を。これは希望の映画。

ジョンの口から語らせず、敢えて10年後の〈文通相手〉の目線で描く。死人に口なし。常に誰かの目線を意識し、スターとして振舞ってきたジョンの人生そのもの。何が真実かもぼんやりしている時代に、偽りの殻を脱ぎ捨てようともがくジョンとルパートの姿が美しく映る。

グザヴィエ・ドラン、やはりオープニングがうまい。「たかが世界の終わり」も最高だったけど、今回もグッとくる入り。ただ、音楽の使い方がちょっと臭い…と思うところも。恥じらいのない、素直にクールに撮りたいんだって想いは伝わる一方、コッテリ胃もたれを感じてしまうのは否定できない。

息子の母親にたいする矛盾した想い。鬱陶しい、自分を狭い世界に閉じ込める足枷?それとも、誰よりもそばに居てくれる大切な家族なのか。「Mommy/マミー」で描かれた母と子は共依存にも近い濃密な関係だったが、今回はまた異なるアプローチから見せてくれる。過去作との比較も楽しいかも。