映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

2019-01-01から1年間の記事一覧

「欲望という名の電車」感想

欲望という名の電車、みた。零落した地主の娘・ブランチが娘夫婦の家に転がりこむ。嘘を捨てられない女。若さと容姿へのこだわりや良家のプライドが彼女をがんじがらめにする。偏見と正論の入り混じった罵声で陵辱するスタンリーの恐ろしさよ。彼女が救われ…

「地獄少女」感想

地獄少女、みた。恨んだ相手を地獄に落としてくれる地獄通信。そんな都市伝説を信じて狂っていく人々の物語。実写なのに玉城ティナだけ作画のテイストが違うよ!もはやギャグに近いが、麿赤兒や橋本マナミを引き連れて現れるだけで楽しい。魔鬼周辺のきな臭…

「殺さない彼と死なない彼女」感想

殺さない彼と死なない彼女、みた。リスカ常習犯の鹿野と、すべてに興味を失った小坂の交感を描く。〈そばにいる〉ってすごく大切なことだ。どれだけ罵り合っても、想いがすれ違っても、〈引き立て役〉とからかわれようと。あなたがそばにいるという安心感、…

「ひとよ」感想

ひとよ、大傑作!父を殺した母が15年ぶりに帰ってきた。家族ってとっても迷惑で、面倒で、それでいて離れ難いものだ。多くを語らないが故に人を傷つける長男、自らの怒りの感情に葛藤し続ける次男、グレてるけど優しくて甘え上手な長女。みんな何を失ったの…

「一人っ子の国」感想

一人っ子の国、大傑作!共産党による一人っ子政策の実態を追うドキュメンタリー。二人目を産んだ一家の家屋取り壊し、強制不妊治療、ゴミ捨て場に重なる女児の死体、当局も絡んだ人身売買…。国家の理想の裏に隠された地獄。生き別れた姉を想い「一緒に遊びた…

「国家が破産する日」感想

国家が破産する日、みた。1997年の韓国通貨危機を、韓国銀行職員、工場の経営者、金融コンサルの3人の目線から追う。庶民の生活を無視し、大企業と富裕層の方しか向かない政府、不透明な政策決定プロセス、外資による経済の蹂躙…いまの日本の状況と重ねざる…

「氷菓」感想

氷菓、みた。日常の小事件からはじまる謎解きが楽しい。想いを伝えられないもどかしさや、自分をわかってもらえないかもという不安、周囲の期待から感じる重圧など、思春期の悩みやおぼつかなさをみずみずしく切り取る。古典部のメンバーも愛らしい。表情が…

「SSSS.GRIDMAN」感想

SSSS.GRIDMAN、みた。特撮オタクの少女・アカネの創り出す怪獣とグリッドマンたちの戦いを描く。カタストロフは快感だ。都合の悪い世界は破壊され、全能感が心を満たす。でも、いつまでも同じ場所にはいられない。思い通りにならない他者の存在と向き合い、…

「世界の果てまでヒャッハー!」感想

世界の果てまでヒャッハー!、みた。悪友たちと訪れた高級リゾート地で遭難したフランクは…。あいかわらず度を越してアホなアレックス、サム、アーネスト。そして謎に生命力の強い老婆!飛行機の離陸からスカイダイビングに至るまでのシークエンスの緊張感よ…

「マチネの終わりに」感想

マチネの終わりに、みた。すれ違い続ける蒔野と洋子の6年間の恋を描く。未来が過去を変えていく。テロや災害が頻発し、いつ突然〈明日〉がなくなるかわからない時代だからこそ、僕たちは後悔や諦めと戦い続ける。音が加わることで活字とは違った味わいに。知…

「CLIMAX クライマックス」感想

CLIMAX クライマックス、みた。爆音で流れる重低音、揺れる筋肉、窓のないダンスホール。ダンサーたちの狂宴は、サングリアに盛られたLSDによって一転、地獄の飲み会に…。その場にいるかのように錯覚するOPの長回しは圧巻!途中から退屈でひたすら帰りたくな…

「ターミネーター:ニュー・フェイト」感想

ターミネーター:ニュー・フェイト、みた。映画は冒頭から予想を裏切る波乱の幕開け、そして原点回帰の逃走劇、歴戦の勇者サラ・コナー。正直途中までは面白かったのだが、シュワ登場から失速、最後はいつもの「ターミネーター」に。マッケンジー・デイヴィ…

「ミスミソウ」感想

ミスミソウ、みた。両親を焼き殺されたいじめられっ子の復讐からはじまる暴力の連鎖を描く。凍てつく雪原と温かい鮮血のコントラスト、そして儚げに佇む野崎=山田杏奈。カメラを突き刺すクロスボウ、停まらず殺しにかかる除雪車、ナイフでの決闘など、アク…

「映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて」感想

映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて、みた。宇宙人のララと星から生まれたユーマ。うたでつながる歓びと、しあわせな時間を手放したくないというエゴ。それでも旅立ちを祝福するのが本当の絆。遠い空に輝く友を想う、その優しさに涙…

「相撲人」感想

相撲人、みた。20歳の女性力士・今日和を追う19分のドキュメンタリー。土俵に上がれば一人。そして平等だ。世界の舞台でも活躍するアスリートとして、そして一人の女性として、女人禁制の"伝統"に挑む。彼女の可能性を摘み取るような世界であっていいのだろ…

「真夜中のパリでヒャッハー!」感想

真夜中のパリでヒャッハー!、超絶大傑作!!社長の子守を頼まれたはずだったのに、悪友の乱入で大変なことに…。この豪邸で何があったか?をPOVで辿るコメディ&サスペンス。「ハングオーバー!」や「Ted」を彷彿。際どい攻めた笑いも多くスリリングだが、不…

「ブラック校則」感想

ブラック校則、みた。超絶大傑作!ここで描かれている若者のリアルは「天気の子」や「映画 賭ケグルイ」の空気感に通ずる。悪法も法、正論であれ和を乱す人間は悪という抑圧。諦めと無力感。単なる大人vs子どもでは割り切れない病理。冷笑に負けるな、本気で…

「ホドロフスキーのDUNE」感想

ホドロフスキーのDUNE、みた。幻に終わったSF超大作のドキュメンタリー。ホドロフスキーの絵コンテとメビウスのデザイン画がスター・ウォーズやフラッシュゴードン、エイリアンに影響を与え…。「失敗しても構わない。それも一つの選択なのだ」と。挫折の末に…

「閉鎖病棟 それぞれの朝」感想

閉鎖病棟 それぞれの朝、みた。事情を抱えた患者の集まる精神病院。元死刑囚の梶木、幻聴に苦しむチュウさん、DVから逃げる由紀。あなたに生きていてほしいと言われること、そして自分の足で外の世界へ踏み出すこと。けんめいに生きる人間を誰がジャッジでき…

「SHIROBAKO」全話感想

SHIROBAKO、全話みた。超絶大傑作!!!!アニメ業界に入って夢を追う5人を描く群像劇。現場は常に地獄だ!見ている自分まで焦ってしまう、遅延に次ぐ遅延。夢だけではご飯は食べられない。それでも「アニメが好き」という気持ちで走り続けるあおいたちの青…

「ジェミニマン」感想

ジェミニマン、みた。謎の殺し屋に追われるヘンリーはその正体が若き日の自分のクローンであることを知る。ひねった展開になりそうでならない凡庸な物語。しかしこの映画の肝は没入感あるハイフレームレートの映像体験。舐めるような長回しも相まって、見応…

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」感想

マンチェスター・バイ・ザ・シー、超絶大傑作!死んだ兄の息子の後見人になったリー。ふたりの奇妙な同居生活がはじまる。この男は何のために、何に幸せを感じて生きているのだろうかと考える。どうあがいても癒えない傷はある。それでもあしたの先を想像で…

「わたしは光をにぎっている」感想

わたしは光をにぎっている、超絶大傑作!長野から上京した澪は身を寄せた銭湯を手伝い、苦労しながらも街に馴染んでいくが…。街並みは激しく移り変わり、先人たちの生きた証は上塗りされていく。それでも、人びとの営みとその温もりは永遠なのだ。 家から駅…

「友だちのうちはどこ?」感想

友だちのうちはどこ?、超絶大傑作!間違えて持ち帰ってしまったノートを返すため、友だちの家を探しまわるアハマッドの冒険。ただ、それだけ。なのにめちゃくちゃ面白い!子どもの見る世界ってこんなにも広く、そして狭いのか。大人は口うるさい、力で押さ…

「ふたりの人魚」感想

ふたりの人魚、みた。瓜二つのメイメイとムーダン、二人を追う男の物語。ゴミと排水で汚れた蘇州河が、発展途上の上海を見守る。移ろいゆく水の流れといつかやって来る別れの予感。ねっとりした湿気と熱のこもった臭い、妖しげなネオン、ふたりの人魚に向け…

「超・少年探偵団NEO Beginning」感想

超・少年探偵団NEO Beginning、みた。明智小五郎と小林少年の子孫が10年ぶりに姿を現した怪人二十面相に挑む。ミステリーを名乗るには弛緩した内容。小夜役の堀田真由が超絶かわいい。芳狼くんガチ恋オタクと化した二十面相に爆笑。佐野岳のアクションもあり…

「イエスタデイ」感想

イエスタデイ、みた。ある日突然自分以外だれもビートルズの存在を知らない世界になってしまったら…。D・ボイル × R・カーティスのタッグ。あふれる優しさと多幸感に浸る。L・ジェームズが最高にキュート。ビートルズがいない世界は退屈だ。でも、あなた…

「解放区」感想

解放区、みた。ドキュメンタリーを撮るべく釜ヶ崎を訪れたスヤマが、次第にこの土地の暗部に足を踏み入れ…。〈釜ヶ崎の現実〉を覗き見る。いくら綺麗事を並べてもそこには他人の生活にドラマを求め、土足で踏み荒して「語った」気になるナルシズムと軽薄さが…

「楽園」感想

楽園、みた。Y字路で起きた少女失踪事件から始まる村の悲劇。社会から見捨てられ、居場所を失った人びと。どこかにわかりやすい悪人がいて、そいつを懲らしめて全てすっきり終わればいいけど、現実はそう簡単ではない。生きている限り絶望を背負い込まなけれ…

「第七の封印」感想

第七の封印、みた。十字軍から帰還した騎士と悪魔の対話。黒死病への恐怖で狂乱する民、磔刑に処される魔女、無知な旅芸人の家族…。生と死、神と悪魔の対立を象徴するかのように光と陰のコントラストが強烈。神は実在するのか?疑った瞬間、神はその人に微笑…