映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ホドロフスキーのDUNE」感想

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ホドロフスキーのDUNE、みた。幻に終わったSF超大作のドキュメンタリー。ホドロフスキーの絵コンテとメビウスのデザイン画がスター・ウォーズやフラッシュゴードン、エイリアンに影響を与え…。「失敗しても構わない。それも一つの選択なのだ」と。挫折の末に夢を語る監督の目!これは人生賛歌だ。

ホドロフスキーは「エンドレス・ポエトリー」しか見ていないのだが、苦しいことや悲しいことも丸ごと受け入れて、「俺の人生、輝かしくて仕方ないよ!」と叫ぶ映画だった。ナルシズムと裏表だが、これほどの強烈な肯定感を持つ映画、好きにならずにいられない。もっと彼の作品を見なくては。

人生を捧げた映画が頓挫する。どれだけ悔しく絶望的だったことか。ダリやオーソン・ウェルズとの出会いを語る彼の姿を見て、これまでの苦労を想像した。しかし、自分の体の一部とすら言える映画が幻に終わっても、彼は前を向いていたのだ。まるでDUNEのラストのように、作品のDNAは世界中に拡がった。

素直に、なんてすばらしいことなんだろうって。あのイメージ画やホドロフスキーの構想を見ると、どうしても「なぜ実現できなかったのだろう」と思ってしまうが、一方で「これでよかったのかも」とも。楽しそうに語るホドロフスキーの目を見てそう思った。この先大きな挫折を経験しても死ぬ必要はない。