映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

2019-01-01から1年間の記事一覧

「フランケンシュタイン」感想

フランケンシュタイン、みた。傑作!人類の過ちとして創り出された怪物。虚ろな目と2mはありそうな図体は、そこにいるだけで人びとに恐怖を与える。本気で気持ち悪い!だけど、何がなにやらわからぬうちに美しいものを傷つけ、混乱のまま風車ごと焼き殺され…

「スペシャルアクターズ」感想

スペシャルアクターズ、みた。何でも屋の俳優事務所がカルト宗教団体に潜入する。「カメ止め」上田慎一郎監督最新作。前作ほどの勢いはなく、あいかわらず似たような内容だけど、個性的なキャラクターたちは魅力的で愛せる。流行りや知名度ではなく、無名な…

「旅路の果て」感想

旅路の果て、超絶大傑作!元俳優たちが集う南仏の養老院。女を生贄に若さを保つサンクレール、妻を奪われ落ちぶれたマルニー、一度も舞台に立つことがなかった代役俳優のカブリサード。俳優は常にスポットライトも求めるわがままな生き物。失意と絶望の中で…

「男はつらいよ 葛飾立志篇」感想

男はつらいよ 葛飾立志篇、みた。今回は〈学ぶ〉とは何か。それは己を知ることだともっともらしく寅さんは言う。礼子さんが先生になった途端やる気になったり、メガネかけ始めたりと、形から入るのも可笑しい。しかし彼の口から出る〈愛すること〉の哲学だけ…

「ライオン・キング」感想

ライオン・キング、みた。王の子ども・シンバの貴種流離譚。中身を忘れていたので、初見の感覚で楽しめた。ヌーの大群は荒れ狂う大河のように恐ろしく、ティモン&プンバァと駆け回るジャングルはアスレチックのワクワク感。ムファサの後継者として生きる宿命…

「蜜蜂と遠雷」感想

蜜蜂と遠雷、傑作。コンクール会場でぶつかり合う天才たち。常人にはたどり着けない高みを目指す彼らの〈閉じた〉苦しみは共感を寄せ付けない。少しずつ手ざわりを確かめながら掴んだ感覚、舞台からの景色と雷鳴のように轟く拍手、世界と音楽に祝福される喜…

「ジョン・ウィック パラベラム」感想

ジョン・ウィック パラベラム、面白かった!こんどは世界中の暗殺者に狙われる。とにかく〈ゲーム的〉楽しさに溢れている。TPS風のガンアクションが最高。超絶上手いプレイ動画を見ているような気持ち良さ。流れるような手さばきでコンボ技を決めていく。…

「空の青さを知る人よ」感想

空の青さを知る人よ、傑作!音楽に打ち込むあおい、彼女を支えるあかね、突然現れた13年前の慎之介。生まれ育った町、まだまだ子どもの妹、好きだった彼…みんな何かに縛られて生きている。自分は何なりたい?ガンダーラは何処かにある?あおいは苦しむ。でも…

「あなた買います」感想

あなた買います、みた。実際に起きたプロ野球選手争奪戦に着想を得たお話。スターの進路が「ビジネス」になる世界。岸本と球気の攻防!ひとを商品として扱う醜さよ。一方で「人としての付き合いをしたい」に滲む葛藤。苗子が清涼剤。彼女の「騙されたフリし…

「四月は君の嘘」感想

四月は君の嘘、全話みた。かをりが公生を呼ぶとき、「公生くん」でも「あなた」でもなく「君」なのがいいですね。近づき過ぎない距離感。それぞれの想いが交錯するコンクールは毎回ドラマティック。群像劇としても見応えがあるが、俺はどうしても椿の目線で…

「これは経費で落ちません!」感想

これは経費で落ちません!、全話みた。面白かった!真面目すぎてもはや堅物の森若さん=多部未華子がかわいい。キスの前にリップ塗ったり…笑 天天コーポレーションの仲間たちもチャーミングで愛せる。角田(東京03)と吹越満の小競り合いが毎回楽しみだっ…

「歴史から消えた小野小町」感想

歴史から消えた小野小町、みた。ムーラボ&カナザワ映画祭出品作品。秋田の地で小野小町の人生をたどる短編コメディ。監督の好きがたくさん詰まった、なかなかに混沌とした作品。人柄がでてる。ただ、正直あまり興味なかったので、早く終わらないかなと思っ…

「怪怪怪怪物!」感想

怪怪怪怪物!みた。傑作!いじめられっ子のリンと「怪物」との出会いから始まる地獄を描く。人は反撃されないとわかっている相手にしか手を出さない。「格下」を苛めで保たれる自尊心、守られる人間関係。誰だって「善人」でありたいと願う。でも「悪人」が…

「テッド・バンディ」感想

テッド・バンディ、みた。試写会にて。30人以上の女性を殺害したシリアルキラーを描く。この手の実録モノにしては珍しく〈なぜ彼は殺人鬼になったか〉を描かない。パーソナリティにも踏み込まない。この映画にあるのは〈人びとはテッドの何を信じたか〉だ。…

「マジで航海してます。Second Season」感想

マジで航海してます。Second Season、超絶大傑作!飯豊まりえはふにゃっとした笑みも、キリッと真面目な表情も似合う。いよいよ商船大学を卒業し、航海士のお仕事ドラマとして興味深い。未熟さゆえの苦い経験もあるけど、爽やか、元気でる!真凛と燕の最後の…

「松永天馬殺人事件」感想

松永天馬殺人事件を「目撃」しました。松永天馬という男は、そして映画は誰によって殺されたのか?正直、仕掛け自体は予想ついていたけど…「俺は俺だけの映画を創るんだ!」という熱い想いにあふれていた。この映画に物語は存在しない。あるのは松永天馬の哲…

「マジで航海してます。」感想

マジで航海してます。全話みた。商船大学の1ヶ月の研修を描く。飯豊まりえ目当てで見たけど、武田玲奈がよかった!他愛もないお話で、安定のダブ品質。飯豊まりえはシリアス演技の方がハマる気がする。最後その展開を10分で片付けようとするなよ!とは思った…

「ジョーカー」感想

ジョーカー、みた。道ばたで異臭を放つゴミのように蔑まれてきた男が、混沌の震源地となり、世界を丸ごと「喜劇」に変えてしまう。果たしてこのテーマをエンタメとして扱っていいのだろうか。お金払って楽しんでいる自分は「マーレイ・フランクリン・ショー…

「宮本から君へ」感想

宮本から君へ、みた。自分が大好きで、納得できないとわめき散らす未熟な男。そんな宮本が父になる。お腹を痛めて子を産むのは女。ならオスとして「強く」なれば、男は「父」になれるのか?男と女なんて今更古臭いかもしれない。でも、答えなんてわからなく…

「郵便配達は二度ベルを鳴らす」感想

郵便配達は二度ベルを鳴らす、みた。夫への裏切りからはじまる関係。娼婦から這い上がろうとした女、そして駆け落ちを持ちかける男。いっときの情熱や愛というものは続かない。燃え上がったは消え、離しては掴み…。面白いことに、ジーノとジョバンナが出会っ…

「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」感想

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に、超絶大傑作!映画は、所詮すべてはマスターベーションであると最初に宣言している。肥大化した自我が地球を覆い、人類を飲み込む。他者との繋がりに醒めてしまった孤独、そして最後の「気持ち悪い」。ア…

「新世紀エヴァンゲリオン」感想

新世紀エヴァンゲリオン、全話みた。裏死海文書とか人類補完計画なんてワード、中二の時に見てたら間違いなく道踏み外してた笑 陳腐な青春コメディ描写と、陰惨かつ核心は何も明かされないSFパートのあいだにある、あまりに深すぎる溝。両極の次元が出会い…

「凪のお暇」感想

凪のお暇、全話みた。面白かった!みんな空気読んで、その場を取り繕って、周りにいい顔して。気づいたら「カッコ悪い」生き方をしてる。凪だけじゃない。慎二、坂本さん、みすず…。それぞれに胸の奥に抑え込んだドロドロが、偶然の助けを借りながら、ちょっ…

「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」感想

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ、みた。高校進学を控え、冴えない自分を変えようと奮闘するケイラの物語。SNS上のアバターと、学校での無口な私と。もっとクールになれるはずともがくケイラのニキビだらけの顔も、クラスの人気者の前で丸まっ…

「冬冬の夏休み」感想

冬冬の夏休み、みた。冬冬が祖父の田舎で夏休みを過ごす様を描く。イケてるオモチャ持ってれば尊敬される、妹には少し意地悪したくなる、意味はよくわからなくてもオトナのいざこざは敏感に感じ取る。侯孝賢はどうやってこの年頃の感性をみずみずしく切り取…

「聖者たちの食卓」感想

聖者たちの食卓、傑作!シク教総本山ハリマンディル・サーヒブで毎日無料で提供される10万食の豆カレー、その舞台裏に迫るドキュメンタリー。無駄ひとつない手さばき!すべて無償労働というから驚き。500年間生き続ける巨大な生命体と言ってもいい。尊い文化…

「そして誰もいなくなった」感想

そして誰もいなくなった、みた。孤島に閉じ込められた10人の男女が、童謡の歌詞の通りに次々殺されていく…。原作未読。一人、また一人と無残な死に方をしに、謎が謎を呼ぶ。それでいてユーモアも忘れない。徐々に候補が絞られていくので、犯人探しの推理も楽…

「パラダイス・ナウ」感想

パラダイス・ナウ、みた。自爆テロの実行犯に選ばれた二人の青年の物語。ぐったり疲れた。なぜ彼らはこのような選択をしなければならなかったのか、ほかに道はなかったのだろうかと、考えてしまう。すれ違う二人の想いに胸を締め付けられる。残念ながら公開…

「サウナのあるところ」感想

サウナのあるところ、みた。サウナ王国フィンランドの異色ドキュメンタリー。男なら泣くな、弱みを見せるな。そう育てられた男たちが、心も裸に、先立った家族との思い出や、運命の人との出会いについて語りだす。石の上で水の焼けるジュワッという音が心地…

「アド・アストラ」感想

アド・アストラ、みた。海王星で消息を絶った父を追って宇宙を旅するロイの物語。月面コロニーでの攻防や現実の延長線上にあるようなテクノロジー描写などディテールは好み。だが、宇宙空間と内面世界を重ねる演出や父性の超克といった物語の骨子には既視感…