映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「松永天馬殺人事件」感想

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松永天馬殺人事件を「目撃」しました。松永天馬という男は、そして映画は誰によって殺されたのか?正直、仕掛け自体は予想ついていたけど…「俺は俺だけの映画を創るんだ!」という熱い想いにあふれていた。この映画に物語は存在しない。あるのは松永天馬の哲学である。冨手麻妙が主演に劣らぬ存在感。

オープニングのミュージカル風演出で一気にグッと心つかまれた。合わせ鏡の世界に招かれるように、混沌とした松永天馬ワールドに、劇場空間に閉じ込められていく。映画のための映画、映画とは何かを語るための映画。言ってしまえば松永天馬の壮大なプロモーション、マスターベーションでもあるのだが。

松永天馬殺人事件、松永天馬が「殺害」される場面で特に感じたのだけど、「東京流れ者」の影響下にあるのでは?劇映画のはずなのに「演者」のアイドル性、カメラが捉える「セット」の空間性が暴かれてしまうメタ的目線。脱構築の手法そのものが作品の主題になっている。極限の危うさの上に成り立つ。