映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」感想

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エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ、みた。高校進学を控え、冴えない自分を変えようと奮闘するケイラの物語。SNS上のアバターと、学校での無口な私と。もっとクールになれるはずともがくケイラのニキビだらけの顔も、クラスの人気者の前で丸まってしまう背中も、すべてが愛おしい。

誰しも、頭の中ではいつでも勇者で、雄弁に語るもの。そして、SNSはそんなもう一人の自分がだだ漏れになってしまう場でもある。人前ではできない振る舞いも、Macのカメラの前だったらできるし、一歩前に踏み出したことも言えてしまう。恥ずかしいこともすべて記録される。自分を相対化する鏡にもなる。

ケイラがむき出しの本心(を裏に格下「なりたい自分像」)を吐き出すのは、彼女を溺愛する父でも、学校の先生でもなく、YouTubeのチャンネルだ。彼女にとってSNSは自分を知る鏡だ。勇敢な言葉ばかり先走りがちだけど、不器用なりに有限実行しようとする強さがケイラにはある。その姿に励まされる。

ひとりだけ場違い感のあるパーティーでとりあえず「うんうん、わかるー」と消えそうな声で相づちを打つところや、先輩だと何をやってもカッコよく見えて憧れてしまうところ、とても共感できる。オリヴィアを見るケイラのキラキラした瞳、刺さりまくる。扉閉まる前にひとアクション挟むの父のウザさも。