「サウナのあるところ」感想
サウナのあるところ、みた。サウナ王国フィンランドの異色ドキュメンタリー。男なら泣くな、弱みを見せるな。そう育てられた男たちが、心も裸に、先立った家族との思い出や、運命の人との出会いについて語りだす。石の上で水の焼けるジュワッという音が心地よい。つねに全裸なのはやはり可笑しい。
サウナのドキュメンタリーということで、能天気で癒される映画なんだろうと思っていたが、まったくの逆だった。男たちの語る話は重く、ほとんどが彼らの人生の形を大きく変えてしまった悲劇だ。でも、男たちは全裸だ。それだけでちょっと可笑しい。汗の流れる、固そうなその肌に人生が刻まれている。
サウナという場には日常があふれている。石とベンチだけではない。アメニティが転がっていたり、飲みかけの酒瓶が置いてある(サウナでビールなんて!)。一人用の電話ボックスみたいなサウナもあれば、キャンピングカーを改装してシャワーまで完備したサウナもある。豊かな文化と生活がここにある。
フィンランドというふだん馴染みのない国の風俗に触れられるだけでも、とてもいい映画だと思う。ドキュメンタリーと呼ぶには作為的な部分も多く感じて、あまりにドラマティックすぎるかなあとも思うけれど。サウナ、入りたくなったなあ。