「白夜（ヴィスコンティ）」感想

ヴィスコンティの「白夜」みた。恋する男との再会を夢見て橋で待つナタリアと、そんな彼女を追い回すマリオ。お互い平行線のまま夜の港町をさまよう。やがてふたりを祝福するように舞い始める雪、と思いきや…。酒場でのダンス、ふたりきりのボートの多幸感、そしてラストの失恋の衝撃。超絶大傑作！

ヒロインのマリア・シェルがとにかくかわいい。あの太陽のような笑顔！可憐でいて少し幸薄な雰囲気が良い。それを追いかけるマルチェロ・マストロヤンニ。最初から最後までナタリアの気持ちは下宿人に向いているのに、しつこく付きまとうのはちょっと気持ち悪い…と思っていたらあのラスト笑

しかし、やはりあのダンスは楽しい！ナタリアの気を引こうと不恰好に踊るマリオが可笑しい。しかし、画面の端々に映る浮浪者たちの姿、あれはなんだったのだろう。気になった。街を見渡す丘で幸せを誓い合うふたり。だがなぜか不安げなナタリア。そして再び橋の前に戻った時…皮肉な出会いと別れの場。

全編セット撮影というのもあるが、この町全体の箱庭感も面白かった。どこかにあの男がいるということ。ナタリアとマリオはこの夢の後も同じ町で暮らし続ける。