映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「イカとクジラ」感想

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イカとクジラ、みた。多感な時期に両親の離婚という危機に直面したウォルト。ノア・バームバック作品もハズレがない!はじめのテニスの場面で家族の関係性をすべて説明してしまう手際の良さ。親に反発するが故に似てしまったり、良い思い出は軽蔑しているはずの母親とのことばかりだったり…。切ない。

タイトルにもなっているアメリカ自然史博物館の「ダイオウイカとクジラの格闘」のジオラマ、俺もニューヨーク旅行の時に見た記憶がある。ウォルトはこれを見て何を思ったんだろう。彼はこれからも繰り返しこの場所に来るんじゃないだろうか。大人になっても、家族が嫌になっても、彼の原点はここだ。

ジェシー・アイゼンバーグがいつもの童貞役で笑う。見栄張って父親の真似して知ったかぶりしたり、手でいっちゃって焦ったり、側から見てるとザコなのに一人でドタバタしているのが面白い。卓球で負けてキレる父親、浮気した過去を悪びれない母親、自慰の痕跡をロッカーになすりつける弟。ズレてる。

駐車場所が見つからずにぐるぐる回る車中での会話は「マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)」を連想。夫婦のいざこざと家族の崩壊を描かせたらバームバックの右に出る者はいないだろう。恋とか愛情の瑞々しさみたいなものが一切ないのだ。