「音楽」感想
音楽、みた。たまたまギターを拾った研ニは不良仲間と共にバンドを始め…。うまく弾きたいとか、カッコよく見せたいなんて気持ちの手前の、原初的な衝動。体と心の赴くままにかき鳴らす。音を奏でた瞬間の世界がうねり出す躍動を、オフビートなデッドパンとの対比で見せる、その自由さに滾りました。
型に縛られないというより、型を知らない、気にしない。いつも無表情で、会話の間も独特な研二は何を考えているのかさっぱりわからないけれど、彼の体の芯がものすごい熱を発しながら振動していることは確かにわかるのだ。シンバルのないドラムと二つのドラムから生まれるシンプルな音。これが快感。
とりあえず気持ちいいから、とにかく昂ぶるから鳴らし続ける。誰かのためではない、自分のための音楽。電子レンジの中の卵のように、身体中の分子が振動して、最後は爆発する。なんて贅沢で自由な体験なんだろう。