映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「i 新聞記者ドキュメント」感想

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i 新聞記者ドキュメント、みた。望月衣塑子って面白いキャラしてるなあ。キャリーバッグをガラガラと引きながら永田町を駆けずり回る。高圧的な態度の政治家や政府高官に物怖じせず斬り込む姿はホンモノのジャーナリスト。一方モシャモシャお昼を食べたり、しょっちゅう迷子になったり意外と憎めない。

なぜ彼女が〈普通ではない〉この官邸カルチャーの中で〈普通〉でいられるのか。取材対象にぐいぐい迫り、社内外に忖度なしで活動できるのか。いちサラリーマンとして不思議に思うところはあるのだが、それは彼女が生粋のジャーナリスト気質であると同時に、非常にパワフルな人間だからだろうなと。

あのキャリーバッグの中に何が入ってるのか知らないけど、旅行でもないのに毎日あんなのガラガラ引いてたら疲れますよ普通。すごくエネルギーにあふれている人なんだと思う。そして良い意味で図太い。社会部というポジションが彼女を自由にしているところはきっとあるけど。

官邸前で森監督が警備員に絡まれる。緊張感漂う中、取材から戻ってきた望月記者がひと言「怒られてるんですか?」と。メチャクチャ軽くて笑ってしまった。こういう肝の座り方が大事なんだろう。途中で挟まれるアニメーションはコミカルであると同時に切ない。これは単なる夢であると告げている。

社会の分断を匂わせるラスト。2017年衆議院選挙の最終局面、秋葉原で演説した安倍晋三の元に自民党支持と抗議者が鉢合わせし、一触即発の空気になったことは新しい。場外乱闘。あの景色にまったく新しい未来が見えない。それでも「私は」から物事を考える、動き出していく。力強い締め。