「めまい」感想
めまい、みた。いままで見たヒッチコックの作品は微妙だったけど、これは面白かった。マデリン=キム・ノヴァクの幽霊のような佇まい!夢を見ているように不気味な前半から唐突な転調、種明かし後はぐいぐい引き込まれた。幻覚の場面のサイケ感最高!相変わらず締めが呆気ない笑 超絶大傑作。
ここの幻覚シーンが洒落てたなあ。眼球ぐわんぐわん揺らされる感じ。エンパイア・ホテルのカーテンを照らす幻想的なエメラルドグリーンのライトが美しい。照らされたマデリンの顔が鼻筋を境に〈光〉と〈影〉ふたつの表情を持つのである。あの世とこの世、ホンネとウソ。マデリンとジュディ。名カット。
ゴールデン・ゲート・ブリッジの橋げたの下で、マデリンが入水しようとする。あの橋の向こうに、すぐ先にあの世が見えるようだ。サンフランシスコではなくブルックリンだが、橋のこちらとあちらで世界がガラリと変わる「サタデー・ナイト・フィーバー」を思い出したが、これは完全に余談。
場面ごとの視点の誘導と動線がしっかりしている。いちばん素晴らしいのはやはりタイトルの「めまい」の場面だ。いまではよくある演出だけど、これまた頭ごと掴まれてグラグラ振り回されるような不安定感。スクリーンで見ていたら…と思わされる迫力だった。ただ階段の下を覗き込むだけなのに、ですよ。