「彼方からの手紙」感想
彼方からの手紙、みた。中年男性と少女のしっとりしたロードムービーかと思いきや、思わぬところで堂々としたウソをつく映画だ。車窓に合成される景色、時空間を跳躍し、交錯する運命。カラフルで狭っ苦しい部屋に閉じ込められ、ふたりは踊り狂う。掴みどころがないけど、その浮遊感が心地よかった。
彼方からの手紙、みた。中年男性と少女のしっとりしたロードムービーかと思いきや、思わぬところで堂々としたウソをつく映画だ。車窓に合成される景色、時空間を跳躍し、交錯する運命。カラフルで狭っ苦しい部屋に閉じ込められ、ふたりは踊り狂う。掴みどころがないけど、その浮遊感が心地よかった。
東京タワー、西武百貨店、ディオール…と首都高から銀座まで、助手席から街並みを眺めては目に映るものを声に出す場面が好き。2008年はまだ中学生で、銀座なんて行く機会なかったから、マリオンに西武入ってたんだなあとか、きっと5年後はもっと違った景色に思えるんだろうなあとか思った。
物語のSF的な仕掛けは、なんとなく察するものはありつつ、しかし、決定的な証拠も示されないので、この不思議な浮遊感のままに受け止めるしかないのだろう。死の匂いと「不在」から紡がれる希望、少女の場当たり的な彷徨とその無尽蔵のエネルギーへの眼差しといった要素はのちの瀬田作品につながる。