映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「バンコクナイツ」感想

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バンコクナイツ、みた。日本人はタイ人を人だと思っていない、タイ人は日本人をカモとしか見ていない。タイの歓楽街に入り浸る男たちと娼婦の物語。うーん、あんまりグッとくるポイントはなかったかなあ。ヌルッと進む抑揚のないストーリーは、明るそうには見えない彼らの未来を見通しているようだ。

しかし、バンコクの夜の景色は興味深い。東京や大阪にはない活気を見出すのは、タイに対する偏見だろうか。野っ原にぼこぼこと空いた爆弾の跡は、大学生の頃にベトナムに行った時に見た。タイの中でも部族や地域で格差がある。中盤ののどかな田舎の景色が、バンコクのギラギラした夜と対置される。

主人公のオザワをはじめ、バンコクをウロウロするゴロツキたちの胡散臭さが絶妙にリアルでおもしろい。こいつら妙に金持ってるけど一体なにで稼いでるんだ感。でもきっと彼らも日本には居場所がなかったんだろうなあ。元自衛隊の肩書がやたら幅をきかせているが、本当にあの界隈ではそうなのだろうか。

女性がひな壇に並べられ、男がそれを品定めする光景にはやっぱり嫌悪感を抱いてしまう。そういう風に描いているんだけれども。作品にイマイチのめり込めなかったのは、この世界に対してある程度の距離感を保ってしまうからかもしれない。ほかの空族作品もそのうちみたいですね。