映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ドント・ルック・アップ」感想

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ドント・ルック・アップ、観た。半年後に隕石が落下して地球は滅亡する。そんな予測より選挙だと息巻く大統領、わけわからんチャリティーソングではしゃぐ歌手、阻止計画を乗っ取るテック企業…。ディザスター映画なのに描かれるのは「混乱」や「絶望」ではなく、「思考停止」。笑いながらゾッとする。

アダム・マッケイの映画って、なんでもかんでも相対化して、満遍なくみんなを笑いの対象にしてしまうので、嫌味ったらしいインテリ臭さを感じなくもないのだが、今回は迫り来る気候変動というアクチュアルな問題を彗星の接近に置き換え、単なる冷笑にとどまらないのがよかった。

メリル・ストリープ演じる大統領は明らかにトランプですよね。気候変動を否定する。執務室にはセレブとの記念写真が並び、醜聞が垂れ流され、身内をホワイトハウスの要職につけてしまう。すべて場当たり的。政府の計画を乗っ取るテック企業はアップルやメタ(Facebook)、テスラのことだろう。

メリル・ストリープ演じる大統領の下卑た笑い、すさまじい悪意を感じる笑 隕石問題を笑いで処理しようとする品のないワイドショー、科学者をタレント扱いして祭り上げる世論。みんな危機感がない。迫り来る危機より、目の前の享楽の方が大事だ。しかし、出てくる人間みんな欠点があるのが良い。