「キングスマン:ファースト・エージェント」感想
キングスマン:ファースト・エージェント、観た。このシリーズの戯画的なおふざけの魅力が、史実を織り交ぜたことで中途半端になってしまった。血に塗れた近代英国への批判はいいが、だとしたら「世界史の裏で活躍するキングスマン」のユーモアって一体なんなのだと。ウソはウソで突き通してほしい。
ラスプーチンとの対決はこの映画のハイライト。しかし、このくだりは敵も味方もマヌケすぎる。「誘惑して毒入りのパイを食べさせる」って、はじめからうまくいくはずがないので、ミッションに緊張感がないし、ドキドキもしない。バレエのように舞う格闘パートは素晴らしかった。本作の山場だと思う。
一方、ストーリーを貫く親子の葛藤はピンとこない。息子が「軍隊に入ってお国に貢献したい」はまだわかるとして、そのあとの父親の「息子を戦地に送るかどうか」の逡巡、そして中盤以降、彼が見出す「こたえ」が納得いかない。この紆余曲折は、物語を生み出すための物語、といった印象を受ける。