映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「TITANE/チタン」感想

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TITANE/チタン、観た。頭にチタンを埋め込まれた女が殺人を犯して身を隠すが、クルマとのセックスで身籠もったことに気づき…と、あらすじを追っても意味不明だが、映画が問うのは、愛はどこに生まれるのか?という普遍的な問題だ。もはや肉体というより内臓の痛み。強烈にパンクだがなぜか感動した。

アレクシアの肉体に課せられた呪いが多重に倒錯している。家のリビングで股を開いてシリアルを貪る様はあまり品がないが、冒頭の「見せ物」として登場するモーターショーでの彼女の振る舞いに比べると、いくぶん自由に見える。夜行バスでの判断は、彼女が自分の性をどう思っているかの答えだろう。

肉体の変化というホラーに振り切らなければ、かといってクライムサスペンスをやるわけでもない。鉄の子を身籠る設定は非常に寓意的だけれど、その設定を深くは掘らないし、完全に受け手に投げるほど抽象化もしない。かなり不思議なバランスだけれど、観客はその倒錯を受け入れてしまう。