「カモン カモン」感想

カモン カモン、観た。ことしベスト。非常に寓意的なホームビデオだ。大人ってやることいっぱいあるんだな。いつも精一杯。でもそんなの子どもには関係ない。誰かを理解するのは疲れるし面倒だし徒労に終わることもあるけど、だからこそ通じ合うことは尊くて愛おしい。ちゃんと大人やるのって大変だ。

「お母さんはストレスが溜まると大きめのステーキを焼いてひとりで食べてるんだ」って。そうそう、これがマイク・ミルズの眼差しなんだよな。ほんとうに愛おしいと思えると、そういう些細なクセや習慣を観察したくなるし、意識しなくても覚えてるものなんだよ。ディテールの愛おしさというべきか。

モノクロの撮影によって、現代劇なのにどこか遠く過去の物語のような普遍性と寓意性が付与される一方、じっさいにアメリカ中をまわって録った子どもへのインタビューを挿入することで、これは大人の責任の話なのだと観客に気付かせる。ちゃんとした大人になるには努力が必要なんだ。子どものためにも。

俺は子育ての経験は当然ないけど、塾の先生のバイトやってたから、あの年頃の子どもの面倒臭さってなんとなくわかるんだよな〜。こっちが慣れないなりに乗っかってやると「つまんねー」みたいなリアクションされて心折れる。でも、子どもってズルいのが、そういうのも理解してそうなんだよね笑