勇者たちの休息、みた。年に一度、アルプスを越えてニースまで向かう自転車愛好者のグループを追ったドキュメンタリー。自転車はひとりだけの空間だ。汗だくになりながら坂を登り、牛の糞を踏みはね飛ばし、吹雪の中を突き走る間、そこには完全な自由がある。張りのない男の肌に染みた日焼け跡が強烈。
カメラはひたすらフィリップを後ろから捉える。画面の中にぽつりとひとり。孤独だが心満たされる戦い。荒々しい自然の中を行く。きっと苦しいだろうけど、あの景色を走れるなら病みつきだろうな。引き出しが少ないのが恥ずかしいけど、思い出したのは高坂希太郎監督「茄子 アンダルシアの夏」だ。