「最高に素晴らしいこと」感想
最高に素晴らしいこと、みた。姉を交通事故で亡くしたバイオレットと精神的に不安定な〈変人〉セオドアの交感を描く。うーん、この手の作品はすこし食傷気味かもしれないなあ。過去にとらわれず生きること、そして大切なひとの恐怖や不安を取り除いてあげることの難しさ。ちょっと入り込めず。
この監督は「ハーツ・ビート・ラウド」でもそうだったのだけど、断片的には非常にいい。ふたりのデートの多幸感と、背中合わせに感じるヒリヒリとした緊張感のバランスはすばらしかった。一方、転調パートで失速してしまう。変化をつけるのがうまくなくて、最後まで一本調子になってしまう。
エル・ファニングの丸メガネは最高。柔らかい日差しを浴びて光る金髪と、まっすぐに光を吸い込んで輝くグリーンの瞳。内向的だけど、心を開いた人と一緒にはしゃぐ時は全力。そんな女の子を演じさせたら右に出る者はいない、ジャスティス・スミスはもうちょっと主張してもよかったような。
セオドアの抱える複雑な苦しみを表現するには、まだ力不足なのではないか。そう思ってしまう場面がいくつかあった。たとえばガレージの中で車のハンドルを握りながら悔しさを爆発させるところとか。カウンセリングにいた同級生の女の子とか、バイオレットの彼氏とか、活かしきれてない印象。