映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「魚座どうし」感想

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魚座どうし、みた。心が壊れた母と暮らすみどりと、宗教に没頭する母に連れ回される風太。ふたりの運命が交錯する瞬間…。大人が怖い、とにかく怖い。ヒステリックな先生、怒鳴る中年、ふたりの母親。子どもの世界ってこんなに空気淀んでたっけ。とにかく息が詰まる。そしてラスト!下半期ベスト候補!

水槽の中の金魚を掴み取るみどり、釣り上げた魚に爆竹を詰め込んではしゃぐ風太。そこに命の重みはない。突発的な暴力。母親は死んだ目をして皿を割り続け、体育館の床に長縄が叩き付けられる音が響く。飛べない限り帽子は赤のまま。地獄はいつまでも続くのである。そんな絶望が全編に染み渡る。

「許された子どもたち」のヒヤッとした空気に近いものもあるが、本作の主人公は小学4年生だ。より幼い。ゆえに世界を見通すその目は曇りなく素直に現実を理解している。もう終わりなんじゃないか。そう思うぐらい空気が張り詰め、限界まで来た瞬間、突然暴力が訪れ、不思議な希望と共に映画は終わる。

正直、あの感覚は言語化できない。ざらっとしたのどごしだけが残る。変なもの飲み込んだような、いや、でもたしかにこれは求めていた味でもあるはずだと。快感でもあった。背後に流れるジャズもいい。とにかく濃厚な30分。できれば配信ではなく劇場で見たかった。超絶大傑作!