「仁義なき戦い 頂上作戦」感想
仁義なき戦い 頂上作戦、みた。面白い!打本組と山守組の抗争は市民を巻き込んだ市街戦に突入し…。このシリーズは常に若者の持て余したエネルギーと、大人たちの欺瞞と、社会の矛盾に対する反撥で出来ている。そして人の命が軽い。終わらない地獄。テンポよく捌くシナリオと編集のリズムが心地よい。
マジで組の「若いもん」が軽率すぎる。後先考えずに突っ走る若者が突き上げ、一方の幹部は日和って動きを見せず、結果事態は悪化し…の繰り返し。内容的にここまでで一番不毛だったと思う。オス同士の縄張り争い。戦うことが目的であって、その先のビジョンは何もない。虚しいなあ。
2作連続でラストカットは原爆ドーム。血で血を洗う抗争に隠された構図は、旧日本軍の失敗の歴史と重なる。その帰結としての原爆投下。暴力の連鎖の末の破滅を暗示している。しかし、松方弘樹はまた死ぬのか…。菅原文太の広島弁はことばのリズムが好き。真似したくなる。これ実話ベースなんだよなあ。
刑務所の廊下で「時代の終わり」を嘆くラストは素晴らしい。高度経済成長の中、戦後混乱期に伸長したヤクザたちは市民社会の監視のもと縮小に追い込まれていく。一億総中流。ある意味、極道の世界は時代が生んだ澱のようなものなのかもしれない。