「不要不急の銀河 ドラマ版」感想
不要不急の銀河 ドラマ版、面白かった。緊急事態宣言下のスナックを描く。一度捨ててしまったら二度と戻らないものがある。都知事に名指しされた〈夜の街〉もまた誰かにとって大事な拠り所。「俺たちの人生は不要不急だったのか?」が刺さる。しかし、人間は逞しい。きっと乗り越えられるはずだ。
そんな想いがラストの「ファイト!」に込められていると思った。又吉直樹の描く世界はいつも残酷で、みんな一生懸命なのに想いがすれ違ってしまう。それが滑稽であり、また温かい。いろんなひとの人生が交錯するスナック「銀河」もまたコロナで揺れる飲食業界の葛藤を映し出している。
又吉直樹原作の映像作品を見るのは「火花」「劇場」に続き3作目になるが、彼はどうにも矛盾した感情を孕んだまま、すべてをぶちまける人間の爆発力みたいなものを信頼している気がする。鈴木福と茅島みずきのキスのくだりが好き。コロナ禍であろうと愛しあう人はキスを求めるものだ。が、果たして…。