映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「妖怪人間ベラ」感想

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妖怪人間ベラ、みた。「妖怪人間ベム」の幻の最終回を追う新田はやがて狂気に蝕まれ…。いまこの題材でやる必然性を全く感じないが面白かった!最近のホラーではいちばん怖い。二つの物語が交錯する中盤までは最高だったが、そのあと少し失速。森崎ウィン桜田ひよりが楽しそうに暴れている。

妖怪人間に魅せられ徐々に気が狂っていく新田=森崎ウィン。狂っていることを自覚していて、ふだんは大人しくすることで日常に溶け込もうとしているのが怖い。森崎ウィンが爽やかイケメンだけになおさら。ああいう感じで急にプッツン切れちゃう人そこらへんにも居そうじゃないですか?

その狂いっぷりを中田秀夫監督のようにコメディに振ることもできたけど、この映画は「事故物件」のような選択をしない。しっかりちゃんと怖い人になってる。「シャイニング」を思い出した。英勉監督だったら、オーバーアクトでコテコテに味付けすることもできたと思うんだけど。真面目にホラーしてる。

やりすぎスレスレのところで踏みとどまってる(人によっては「いつもの英勉」と捉えるかもしれないが)。ベラと牧野が対峙する屋上の場面はギョッとしたし、そのあとの展開のつなぎも含めてコーフンしましたね。残念ながらそのあと高校パートが完全にフェードアウトして物語としては失速なんだけど。

二つのストーリーラインがしっかり最後まで活かされてたらホントに傑作だったと思う。桜田ひよりが強烈だったからもっと出てきて欲しかった。六角精児は怪しい空気出し過ぎ笑 清水尋也の軽薄な若者演技はもはやひとつの芸として完成されつつある。ベラ=emmaもスタイル良くて人外感ありました。

妖怪人間ベム」の幻の最終回のフィルムが普通に怖いんですよ。都市伝説で「ドラえもん」には目撃情報が多数ありながら素材の現存しない「行かなきゃ」という回があって…って話があるけど、ウッカリそれを見てしまったヤバさ、オカルト感だ。真相が明かされる中盤の回想シーンの禍々しさもなかなか。

「私は人間になんかなりたくない」はポスターにも出てくる言葉だけど、これがなかなか効いている。もちろんあの名セリフの裏返しなわけだけど。改めて実写化するにあたってメタ目線を持ち込む設定含め、意外な面白みや驚きに溢れていて楽しかった。薦めるほどではないが、気になるならぜひ見てほしい。