映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「喜劇 愛妻物語」感想

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喜劇 愛妻物語、みた。甘ったれな売れない脚本家と、そんな夫にイラつき罵声浴びせまくりの妻。なにかと妻の機嫌を取ってセックスに持ち込もうとするキモさよ!呆れてキレて涙して…つねに大騒ぎの妻だが、間抜けに口を開けて寝るの顔は穏やかだ。つかの間の静寂に気怠く愛おしい時間が流れる…傑作!

山田洋次監督の作品のようなタイトル。もうちょいマシなネーミングあったのではと思う。どってりした重そうなお尻に赤いパンツ。すっかり色気の褪せたその背中に「身を沈めたい」と悶々する夫。何でもかんでもセックスに結びつけようとする〈不発〉の男。濱田岳の妙に高い声がイラつかせる。

一方の水川あさみも普通のテンションから少し怒気を含んだような、不機嫌な喋り方。濱田岳水川あさみ。ふたりの関係性はその声と身長差にすべて現れている。並んだだけで、ひと目でどういう夫婦生活を歩んできたのか分かってしまう。散々クズだなんだと罵声を浴びせるが、実は甘やかしでもある。

「こんどは本気なんだ!」としか言わない、甲斐性のない夫が諸悪の根源なのだが、夫も夫なら妻も妻だと言いたくなってしまう。さすがに言い過ぎだよって。うどん食べた帰りの車中の会話聞いてると胃の中で鈍い痛みが暴れ回るような気分に。それでさっぱり変わろうとせずヘラヘラしてる夫もダメだが。

ノア・バームバックが離婚しなかった世界線の「マリッジ・ストーリー」。ツマラなくまとめれば「愛とはかくも人を盲目にさせるのか」と思ってしまう話だが、当然それだけでない。愛=惰性でもない。10年連れ添った夫婦の心境などわかるはずもなく。でも結婚って悪くないんだぜって言われてる気がする。 

水川あさみの罵声はずっと聞いてられる。なんだかんだかわいい。小学生みたい。罵詈雑言の数々にどよんとした気分にもなるが、不思議とカラッとして後には引きずらない。夫がつねにヘラヘラしてるからシリアスになりすぎず。妻も氷結にストローさして飲んだり、水筒に酒入れて持ち歩いたり、まあ酷い笑

最終的な感想は「水川あさみと結婚してえなあ」でした。ああやって甘やかされるのに憧れてる時点で豪太と大差ないのか。大久保佳代子にエロメール送ったり、ふてくされて夜の街を散歩する彼に親近感覚えてしまった自分がちょっと嫌いになりました。感想おしまい。