「女は二度生まれる」感想
女は二度生まれる、みた。傑作。廃れ行く花柳界に生きる小えんは筒井の二号になることを決意し…。さまざまな男と出会い、それぞれにちがう顔を見せる小えんの奔放さ!若尾文子の色気にやられる。舌ったらずなしゃべり方に残る少女っぽさもいい。背景には戦争と死の匂い。あのラストをどう捉えよう。
無知で、特に芸もなく、その時をのらりくらりと生きてきた小えん。彼女にとっての幸せはなんだろう。筒井の二号となることで、一度は目標を持ち、芸者からも身を洗った小えんだったが、筒井を失い、ふたたび宙ぶらりんになる。男たちが離れていく。ひとりベンチに座る姿にざわつきを覚える。
彼女は空襲で両親を失っている。親戚の家を経て、九段下の料亭にやってきた。もともとそういう人生なのかもしれない。ふらふらとゆれる彼女に寄り添うように、物語は手軽なスケッチのように進む。