「螺旋銀河」感想
螺旋銀河、みた。新年早々すばらしい作品に出会った!アントニムなふたりの女が反発しては惹かれ合い、物語の中の物語が、映画全体を飲み込む。もしあなたの体に大きな穴が空いていたとしたら、わたしの体の同じところに、同じ大きさの穴を開けたい。深夜のコインランドリーという小宇宙で起こる奇跡。
73分という尺もちょうどいい。目の冴えるようなショットがあるわけではないが、後半はそのシンプルな演出が良い意味で効いてくる。あまり上手いとは言えない主演ふたりの芝居も、ラジオブースの場面では乗ってた。しかし、東京と大阪でふたつのロケ地を特に説明なく横断するのは何なんだ笑 混乱した。
主要キャラみんな頑固でそんなに優しい人間ではない、というのが良い。綾と幸子がトイレの鏡の前で出会うファーストカット。綾のおもわず目を奪われてしまう堂々たる美しさ。一方、幸子もまた綾にないものを持っている。ないものねだり。しかし人は嫌いなものに惹かれることだってある。不思議な因果。
「王国(あるいはその家について)」の方が実験的かつ前衛的なのだけれど、あれは頭で楽しむ映画という感じがする。この「螺旋銀河」の方がお話としてはシンプルに面白く、オチのオシャレさも含めて好みだ。いつか劇場で掛かったらもう一度みたい。いきなりことしの旧作ベスト候補。大傑作!