「遊星からの物体X」感想
遊星からの物体X、みた。通信の途絶えた南極基地で、正体不明の宇宙生物が暴れまわる…。誰が敵かわからず疑心暗鬼になってしまう。まったく気を抜けないのが恐ろしい。クリーチャーがとにかく気持ち悪かった。どういう発想したらあのデザインになるんだ。細いミミズみたいな管がウネウネ動くのが嫌。
変に風呂敷を広げることなく、ほとんどあの基地内でお話が完結するのがいい。空間的な広さを感じさせるのは、それこそノルウェーの部隊がヘリコプターで犬を追跡する序盤だけか。ラストカットは燃え盛る南極基地だが、こんな小さいエリアですべて完結する戦いだったのか…とちょっとした虚しさもある。
さらっと撮ってるけど、人物の配置や基地の動線など、視覚的な描写だけで説明してしまうのがすごいと思う。大事なところで火炎放射器が使えなくなるのはどうなのよって思ったけど…笑 犬からクリーチャーの本体が登場したり、おっさんの頭が割れて変身したりと、とにかく「物体」が強烈で面白かった。
あとコロナ禍を踏まえて見ると、マグレディたちの戦いは、まさしく感染症対策のそれと同じだなと。見た目では誰が「物体」なのか区別できないし、乗っ取られた側は無自覚なようだし。あと、最近人気のAmong Usを思い出さなくもない。どこを向いて刀を振ればいいかわからないって、すごくストレスだ。
だから彼らの不安や焦りはよく理解できる。おっさんたちが疑心暗鬼になって罵りあうのはなかなか見苦しいが、かといって醜いと言えるほど距離を保てないのだ。一年以上世界が混乱しているこの状況を知っているからこそ、なおさら。