映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「モービウス」感想

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モービウス、観た。カップ焼きそばと思えば美味しい。フツーの焼きそば食べようと思ってこれだとガッカリするかもしれない、良くも悪くもソニー印のアメコミ映画。ニューヨークの闇に暮らすドラキュラという切り口にもっとエッジを効かせれば味わいが出たのにと思う。ジャレッド・レトはセクシーです。

最近のアメコミ映画のトレンドは「アメコミ映画のフォーマットで、いかにジャンル映画的なギミックを仕掛けるか」であり、「ローガン」あたりからその流れは顕著だと思うのだが、どうもソニーだけはゼロ年代の作り方を引きずっているように思う。だが、スナック菓子と思えば、意外と飽きはこない。

むしろ何でもかんでもハイコンテクストで重厚長大になりつつあるアメコミ映画の流れの中で、この古臭さがひとつの立ち位置になっているのかもしれない。「モービウス」も脚本や編集の粗っぽさを見るに、誰もこの作品をコントロールできないまま完成品になったとしか思えないが、その雑さも味である。

モービウスの肝心のビジュアルがあまり面白くない。アメコミ映画もわりとデザインの試みは手数が尽きてきた感があって、最近惹かれたのは「エターナルズ」ぐらいなのだけど、モービウスのデザインは、あんまり良いとは思えなかった。ジャレッド・レトとマット・スミスの素の顔の方がよっぽど奇抜だ。

ただ、病人としてすでにドラキュラっぽかったモービウスが、ツヤツヤムキムキの覚醒状態を経て、最後の戦いを通して改めてドラキュラっぽくなっていく変遷は面白かった。マイロは力を手に入れて調子に乗ったヒョロ人間って感じ。戯画化されたイヤミなオーラを発するマット・スミスは唯一無二。