映画狂凡人

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「L♡DK ひとつの屋根の下、「スキ」がふたつ。」感想:もねねん同棲疑似体験エンタテイメント

こんにちは。じゅぺです。

今回は「L♡DK ひとつの屋根の下、「スキ」がふたつ。」の感想です!!

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「L♡DK ひとつの屋根の下、「スキ」がふたつ」は人気少女マンガ「L♡DK」二度めの実写化作品です。監督も前回と同じ川村泰祐。ちょっと前からこのジャンルは映画化できる原作が枯渇したあることはささやかれていましたが、露骨に同じ原作を持ってくるとは思いませんでした。前作が5年前なので主要客層も一巡したし、流行りの俳優使えばなんとかなるだろうという考えが透けて見えます。僕も公開初日に女子小中学生に囲まれながら鑑賞しましたが、そもそも前の実写化がキッカケで「壁ドン」が流行語になったり、山崎賢人がスターになったことも知らないんだろうなと思いました。そういう思い出でマウントを取り始めたら、いよいよおっさんマインドですね。

 

少女マンガ映画のヒロイン起用について

本来、この手の映画は「女の子目線」で見るものであり、ターゲット層からしてもヒロイン目当てで見る客は少ないと思います。だからイケメン役は中高生に人気のある男性モデルやジャニーズなどのアイドルが務めるし、ヒロインもSeventeenあたりの観客と同世代のモデルだったり、同性ウケのいい女優を起用する傾向があると思います。そう考えると、本作の上白石萌音ってちょっと謎なんですよね。たしかに「君の名は。」で一躍有名になりましたが、かといって少女マンガ原作映画のヒロインとして真っ先に名前が上がるような候補かというと微妙です。意外性でいうと「オオカミ少女と黒王子」の二階堂ふみに近いかもしれません。キャピキャピした若さよりは、手堅い演技力で勝負するタイプです。その点で考えると、この起用は大正解でした。

 

上白石萌音のヒロイン力

結論から言うと、上白石萌音ベストアクトだったと思います。彼女の魅力が遺憾なく発揮されていました。まず、上白石萌音って、妹な萌歌と比べてもちょっぴり地味なんですよね。いわゆる生徒会長タイプ的な生真面目さが漂っています。年のわりに落ち着いた声と話し方の印象が強いんですよね。今回彼女が演じる葵はまさしくそういうキャラクターでして、配役的にもぴったりだったと思います。

僕的にツボだったのは男子二人との身長差。壁ドンがとても映えるんです!この小ささがとってもいいんですね。友人役の高月彩良もそこそこ背が高いので、余計に差が強調されていたと思います。照れたり甘えたりするときの伏し目もかわいいですね。あの大きな瞳はスクリーンでとても映えます。

あと、高校生同士の「同棲」っていう設定もいいですね。イチャイチャしながら料理つくったり、カーテン隔てて雑魚寝したり、ワクワクするシチュエーション多数です。本記事のサムネにもしていますが、横ならびで歯を磨く場面なんて特に愛おしかったです。「高校卒業まで性交禁止!」なんて書いてある部屋で高校生男女が同棲するなんて、結構生々しい感じになりかねませんが、そこらへんは上白石萌音の「真面目」オーラでうまく抑え込んでました。キスやハグも多いですが、あくまでプラトニックな関係なのだと納得させるバランス感覚は、やはり上白石萌音の女優としてのセンスなのだと思いました。

 

杉野遥亮 vs 横浜流星

そんな葵=上白石萌音を取り合うのが、柊聖=杉野遥亮と、玲苑=横浜流星の二人。どちらも若い女の子には大変人気があるようです。お話の中では杉野遥亮の方に軍配?が上がりますが、スクリーンの中の存在感は横浜流星が圧倒的に優っていたと思います。強気ながら優しさの見え隠れする不器用さがなんとも可愛い。まわりの女子中高生も発狂してましたよ。僕も一緒に声をあげたくなりました。彼のことは「初めて恋をした日に読む話」で初めて知りましたが、こちらのドラマでも似たような役(ゆりゆり!)を演じていましたね。髪の色も似てます。

おぼつかない演技だな〜と思うことも多々あり、カタコトの英語で「帰国子女」感出してるところなんて最初思わず鳥肌が立ってしまいましたが、途中からギャグ扱いになっていたので安心しました。作品のテンションがわからない中であの笑いをぶっこまれても困ってしまいますよね。てっきり本気であの英語でアメリカ帰り設定を語るつもりなのかと思いましたよ。まあ、そこらへんのダサさもひっくるめて「可愛い」と思えてしまったら全部勝ちです。「逃げるは恥だが役に立つ」のみくりさんも言ってましたよね。もう横浜流星はそういう愛嬌がある点で最強だったと思います。

一方、残念ながら杉野遥亮は華やかさが足りないと思いました。滑舌も悪いし。当て馬役の横浜流星に完全に負けてます。横浜流星に比べて演技経験も少ないようで、ちょっと表情も硬かったかな〜と思います。葵とアメリカどちらを取るかで揺れ動くというよりは、なに考えてるのかわかりませんでした。葵の浮気を疑うところも、無表情なせいで少し怖かったですし。あそこは悲壮感漂わせた方がその後の展開にタメが効くと思うんですけどねえ。

 

愛のために夢を諦める?

ここまでキャスト中心に褒めメインで語ってきましたが、ストーリーや演出、音楽は安っぽかったかなあと思います。そこらへんはやはり廣木隆一監督や月川翔監督など、ある程度作家性に裏打ちされた演出家の技にはかないませんね。テレビ出身の演出家だとやはりスクリーンでは限界があります。たとえば柊聖が雨の中走りまわって車で応援しにきた兄と立ち話する場面や、クライマックスの文化祭のステージの場面は、見せ方としてちょっとマヌケなんじゃないかと思ったりしました。カメラを置く位置もテキトーだし、俳優の顔も見えにくいし。意図を計りかねる演出も多かったです。

葵と柊聖と結ばれるオチも、少々物足りなさが残ります。葵を選んでアメリカを諦めるというのは、愛の強さの証明なのかもしれませんが、僕にはどうにも夢を捨てているように感じられて。どうせなら両方手に入れるオチにしてほしかったです。たとえ中高生が見る映画だとしても、ちょっと幼いんじゃないでしょうか。これもベタかもしれませんが、愛の強さが確認できたなら離れ離れでも大丈夫じゃないか!と思わなくもありません。

最後の最後でガクッとずっこけちゃう残念なオチがつきましたが、甘えまくる上白石萌音が見られただけで元は取れたかなと思います。妹の方はこの手の映画に出るんでしょうかね?