映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「あいが、そいで、こい」感想

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あいが、そいで、こい、をみた。イルカの調教師を目指して台湾からやって来た留学生とのひと夏の物語。王道のボーイミーツガールながらフレッシュ。紀伊田辺の海の輝くような美しさ!リン=小川あんの透明感と、亮=高橋雄祐の泥臭さのコントラストも良い。カラッとした夏の暑さが恋しくなる映画。

この手の物語は「いかにヒロインが魅力的か」に面白さがかかってるわけだけど、小川あんの存在感はすばらしいですね。中国語なまりの日本語もうまい。あの妙な脱力感は「リンダリンダリンダ」のぺ・ドゥナを思い出すが、単身日本にやってきただけではない寂しさ、その裏返しの強気な態度が愛おしい。

亮の「ガキ」な態度は、やり過ぎると幼過ぎるし、定型的になってしまうのだけど、そこは絶妙なバランスでしっかり一人の血の通った人間になっている。それは彼のまわりの友人のキャラクターに負うところも大きいだろう。とくにルールは破らない=絶対に青信号を待つガリ勉がいいアクセントになってる。

2001年という時代設定もいい。たまたま昨日みた「回路」の公開年と同じだ。もう20年前にはなるが…。みんないい大人になっている。現在進行形ではない、過去形の物語だからこそ、ただ「懐かしい」だけでは収まらない心の痛み、あの時ああしておけば、もっと素直に打ち明ければ…という後悔が重く残る。