映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「あの日々の話」感想(ツイッターより再掲)

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あの日々の話、みた。サークルの飲み会の二次会、大学生がカラオケでオールする。ただそれだけの話。不毛な会話とアルコールと眠気がごちゃ混ぜになって生まれる微熱を帯びた空気感。このまま朝なんて来ないんじゃないかと思える長い長い夜。たくさんの笑いと懐かしさと、少しの寂しさの詰まった傑作。

大学生が群れときの、いかにもな軽薄さがこの映画にはあふれている。男のノリで調子に乗ってしまう幼稚さ、(自分は経験ないが)やたらと厳しい上下関係もよくありそうである。童貞とわかるやマウントを取る石川の小ささも笑える。くだらない会話が、このサークルの縮図になっている。

カラオケオールなんて最初の勢いがすべてで、あとはだいたい消化試合だと思う。エアコンが吐き出す人工的な冷気が、ろくに換気もできていないカラオケボックスを満たす。ただひたすらに生産性のないやりとりを繰り返す彼らの会話。寝部屋での先輩と一女の応酬はその最たるもの。どこにも向かってない。

行き先を見失ったまま、9人の長い夜は浮遊し、やがて宙ぶらりんのまま朝を迎える。「松屋でも行きませんか?」って、いいセリフ。「そこらへんにいそう」でいて濃いキャラクターたちのかけあいから生まれる笑いが楽しい映画だけど、ところどころデジャブに近い懐かしがあり、寂しい後味の残る作品だ。