映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「卓球温泉」感想(ツイッターより再掲)

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卓球温泉、みた。ラジオで焚きつけられて家出した専業主婦が、訪れた先の温泉街を変えていく。ウェルメイドな人情コメディ。心が疲れたら、まずは温泉に浸かろう。永遠に終わらないラリーに、男と女の未来と、夫婦の築きあげてきた愛を見る。汗だくで息切らしながら玉を返す蟹江敬三に泣いた。大傑作。

全体的にほのぼのとした雰囲気。松坂慶子の柔らかくも肝の座った主婦っぷりと、牧瀬里穂のケバさは残りつつも根は素直な感じ、とてもいい。そしてなにより蟹江敬三。一人じゃ何もできない不器用な夫。彼が汗と泥にまみれたシャツで必死にピンポン玉に食らいつく。「取りやすい玉」を返す無言の会話。

心のつながりと身体のリズムを確かめ合うようにラリー続ける様は、すこし官能的ですらある。数々の偶然の出会いの末に訪れる、それぞれの再会の場。祝祭ムードの最高潮に、映画は幕を閉じる。

地味に音楽がとてもいい。ゆったりとした時間が流れる温泉街にぴったり。もやもやした気持ちを晴らすため、この竜宮温泉にやって来た園子の気持ちに寄り添うテンポ。場面によって美しく聞こえるときも、切なく聞こえるときもある。いつかしんどい気持ちになったら、もう一回みよう。心が洗われる映画。