映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「フリーソロ」感想

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フリーソロ、みた。今年ベストの一本!ロープなし&素手で945メートルの絶壁に挑戦する男を追うドキュメンタリー。数ミリのミスが死に直結する環境で、つねにパーフェクトとエクセレンスを求めるオノルド。最後20分のスリルよ!鑑賞後の手汗と徒労感がすさまじい。人間に限界なんてないかもしれない。

ロープと安全装置があっても危険な恐ろしい崖を、己の体ひとつで登りきる。恋人や友人は挑戦のたびに動揺し、心の底ではやめてほしいと願っている。でも、誰にも彼のことは止められない。彼にはこういう生き方しかできないから。どれだけ登っても終わりのない戦い。でも人生に「安定」なんていらない。

落ちたら粉々になる高さで、アレックスは孤独に、ひたすらに壁と向き合っている。誰も外から手を差し伸べることはできず、ただ見守り、祈ることしかできない。最後のエル・キャピタンでのチャレンジは本当にスリリングだった。手と足の指のすき間から汗が出続け、自分でも心拍数が上がるのがわかった。

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素人から見ればコブですらない、微妙な凹凸に手足を引っ掛け、這うように上へ上へと進んでいく。そのためには綿密なルート設計と訓練が必要なのだが、その過程もまた面白い。ロッククライミングってこんなにも奥が深いのか、人間って道具に頼らず、この細い体ひとつでこれほどすごいことができるんだ。

自分にはまだまだ知らない世界がある、そして、側から見れば無謀でしかない夢、死に向かっていくような努力も、かけがえのない価値があるんだ。最後のアレックスの表情を見て、なにかを達成した人、世界を変えた人って、こういう顔をするんだと思った。本当に世界って広い。そして面白すぎる。