「mellow」感想
mellow、よかった!街の花屋と寂れたラーメン屋を舞台に繰り広げられる恋愛群像劇。きっとダメだろう、エゴだと思われるかもしれない。たくさん悩み、それでも言わずにいられない「好き」のひと言。どんどん広がっていく告白の輪。「ありがとう。でも、ごめんね」の優しさよ!気持ちのいい映画でした。
田中圭が困った顔したり、小ボケに突っ込むだけでメチャクチャ可笑しい。この人も声がいいんですよね。ボソボソ喋っても、大声張り上げてもおもしろい。ともさかりえとの掛け合いが最高で、いっぱい笑いました。「おっさんずラブ」といい、理不尽なシチュエーションに放り込まれるのが似合うのかも?
数あるエピソードの中でも、宏美=志田彩良と陽子=松木エレナのお話が好き。特に佐藤と三人で美容院の前にあつまる場面。よい!気持ちを伝えて振られれば後悔するかもしれない、どうして自分じゃダメなんだと虚しかなるかもしれないけれど。みんな最後は清々しい顔をしてるのよね。
mellowは、振られること、恋が成就しないことを、ぜんぜん否定的に描いていない。むしろ、そこに至るまでの過程、告白というアクションを起こしたことを、ものすごく肯定的に描いている。苦しみぬいた末の勇気を、やさしく受け止める。だから「ありがとう」になる。
今泉監督の作品はまだ「知らない、ふたり」「愛がなんだ」「アイネクライネナハトムジーク」しか見てないけど、どれも固定カメラでじっくり会話を撮る演出があって、それがすごくおもしろいのよね。舞台(あまり知らないけど)というかコントを見ている気分。どんどんズレていく会話を神の目線で見る。