映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「マイ・バッハ 不屈のピアニスト」感想

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マイ・バッハ 不屈のピアニスト、傑作!二十世紀最高のバッハ演奏家と称されながら不慮の事故で指が動かせなくなったピアニストの半生を描く。パッションに突き動かされ、数々の不運を乗り越えるジョアンは本当に不屈!右手が使えなければ左手で弾けばいい。本人の演奏なので映画館の音響はマスト!

耳が聴こえなくても作曲を続けたベートーヴェンのように、あるいは視力が衰えてほとんど明暗の判断しかできなくなっても睡蓮を描き続けたモネのように、ジョアンは取り憑かれたようにピアノに向き合う。大昔の偉人のエピソードのようだが、驚くべきことに彼は未だ現役のアーティストなのだ。

彼の情熱を嘲笑うかのように降りかかる数々の不運。それでも彼はピアノに、そしてバッハに挑み続ける。ピアニストというと背筋を伸ばして美しい姿勢で演奏する姿を想像するけど、ジョアンは背中を丸めて鍵盤にかじりつくように〈戦って〉いるのだ。その異様な様がまたカッコ良い。