映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「すばらしき世界」感想

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すばらしき世界、みた。人生の大半を塀の向こうで過ごした男が、再出発に挑んでいく。三上の根の真っ直ぐさとその裏返しの危うさ。そして彼を向き合う周りの人々。面倒も多い三上を見捨てず、テレビディレクター、スーパーの店長、役所の担当者。しかし、決して甘やかすこともなく。体温を感じる映画。

コピペミスって日本語グチャグチャになってますね。役所広司はもうさすがという他ない。ああ、この人は憎めないなというときと、やっぱり付き合い切れないよ…と思わされるときのバランスがうまい。彼のそのいつでも爆発しそうな佇まいが、作品全体に緊張感を与えている。すばらしい。

仲野太賀はどの作品に出ても爪痕を残してしまうなあ。しかも、ポジションによってその存在感を変える。津乃田という男の強さと、弱さと、柔らかさと。お風呂場のシーンは白眉(あそこは役所広司梁書が見えないのもいい)。長澤まさみとの距離感は若干コミカル。

六角精児もよかった。「三上さん、今日は虫の居処が悪いんだねえ」の包容力。あれは大人じゃないと言えないことば。生活保護の窓口担当者の北村有起哉もいい(「ヤクザと家族」ではむしろ三上の立場だったが)。近づき過ぎず、かと言って突き放しすぎず。これまでの彼の仕事っぷりすら目に浮かぶ名演。

まあただ着地点はあまり好きではない。ある意味、型通りのお話に収束してしまった。あれさえなければ、かなり好きな線だったんですけどねえ。「終わりよければすべてよし」の考えなので、逆にオチが気に入らないとしっくりこない、というのはある。感想おしまい。