映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「おくりびと」感想

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おくりびと、みた。チェリストとして挫折した小林がふるさとに帰り、納棺師として再出発する物語。納棺の一つひとつの作業が美しく、計算されていて、思わずグッと引き込まれる。死者を送り出すのはひとつの節目をつけるためであると同時に、「また会う日まで」綺麗でいてもらうための儀式なのだろう。

本木雅弘もいいんだけど、やっぱり山崎努ですね。どっしりと構え、飄々としていて頼もしい。良い感じに肩の力が抜けているから、こっちも安心できる。しかし、二人で食べるフグの白子炙りがメチャクチャうまそうだった。邦画ベストフード描写のひとつじゃないですか?食べてみたい。

広末涼子演じる妻がほんわかニコニコと田舎までついて来たのに、納棺師という職業にはヒステリックに近い拒絶反応を示すのはリアル。てか、あんなに「穢れ」として忌避されるものなんでしょうか。妻がはじめて夫の職場にやって来て、ご遺体を挟んで「対面」するショットがとても良い。あれは必須。

たしかに良い映画ではあるけど、じゃあ果たしてこれが日本映画で史上唯一の「アカデミー賞外国語映画賞」の作品なのかというと微妙。他にもすばらしい映画はあるし、単に作品を推薦するひとのセンスが悪いのではと思ってしまう。でも北国の四季が楽しめるのは良い。ひな人形、夏の葬列、満開の桜…。