「イエローキッド」感想
イエローキッド、みた。行き場のない貧乏なボクサーと、元恋人に付きまとう気鋭の漫画家。じわじわと暴力が連鎖し、最後は逃げ場がなくなってしまう。うっすらと酸素の薄い映画だった。血生臭くも、どこかポップな印象を受ける。ここには対話のきっかけなんて何もない。ただ暴力の発露があるのみだ。
なんとかパワハラやら理不尽な生活に耐え忍んできた主人公が、ついに禁断の領域に足を踏み入れてしまう終盤。商店街でひったくりに及んでしまう一連のシークエンスの長回し、徐々に悪人顔になっていく遠藤要がとても良い。そして、三国(波岡一喜)の家へのカチコミ。服部(岩瀬亮)の執拗な絶叫よ…。
あのボクサー先輩やトレーナー(でんでん)のベトっとした圧迫感や、終盤の痛々しくも、理屈を超えた爽快さをもった暴力描写は、「宮本から君へ」へと繋がっていく。あの佐藤二郎とピエール瀧のイヤ〜なオスっぽさとか、一ノ瀬ワタルとの最終決戦のヒリヒリ感と直結している。