映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「パピチャ 未来へのランウェイ」感想

f:id:StarSpangledMan:20201103154351j:image

パピチャ 未来へのランウェイ、みた。イスラム原理主義が台頭する90年代アルジェリアを舞台に、ファッションで抑圧に争う女性を描く。彼女たちの闘いとは、無闇な孤立でも、他者への攻撃でもなく、仲間をつくり団結することだ。「無知な人々が宗教を盾に暴走している」の言葉は現代に地続きだと思う。

正直、三時間近くあったホロコースト映画「異端の鳥」よりしんどかったし、観賞後の疲れは重かった。一部の無知な人々の暴走に飲み込まれ、抑圧に順応してしまう男たちや、率先して軍門に降る女たちの姿が、あまりに身近で見覚えがあったからであり、自分もまたその一部であると自覚させられるからだ。

映画で描かれている内容に素直に怒れない。ネジュマに無神経な言葉を投げかける恋人や、弱みにつけ込もうとする門番、暴力で支配しようとする過激派に憤りを覚えるし、非常に不快であることはたしかなのだが。未来の自分がああならない確証はない。怒って気持ち良くなってそれで終わりでいいのか。

「女は正しい服装をしろ」のポスターが街中に貼られていたとして、俺は声をあげられるだろうか。ネジュマのような女性が剥がしているのを見かけたとして、一緒になって動けるだろうか。終盤の食堂に於ける一連のアクションと、ラストの一幕は、絶望の中にも希望はあると示してくれる。

「あなたのためを思って」のテンションで何気なく相手を縛る言葉を投げかけたり、突発的に暴力が降りかかってきたり、変にわざとらしくなく、とても生々しい温度感で地獄を体験させてくれる。ハッとするような面白さとは違うのだが、見応えのある作品ではあった。感想おしまい。