映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「グッバイ、ドン・グリーズ!」感想

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グッバイ、ドン・グリーズ!、観た。力技で泣かされてしまったよ。「よりもい」に続き、「ここではない何処かへ」の切望。ちょっとくどいな、展開駆け足だな、なんて思うところはあれど、ここぞの飛躍の力強さにねじ伏せられたなあ。花江夏樹そんなに好きじゃなかったけど、この映画で見方が変わった。

「ここではない何処かへ」の物語だからこそ「見たことない景色」の説得力が重要なのだが、映像は本当にすばらしい。ロウマが花火を買うお店からクライマックスに至るまで、ディテールが徹底している。何度もぐって来てしまったよ。音響もよかった。実際に滝壺に立っているような感覚。

ロウマやトトの表情の演技もいい。ふたりの間の微妙な感情の揺らぎ、心の弱さや不安が、直に届いてくる。親友同士でありながら、離れたところに住むふたりの距離感。しかし、これはレギュラーアニメの尺で見たかった話でもある。特にドロップの位置づけが、途中まで分かりにくかった。

感動的な飛躍を「ウソ」と捉えるか、素直に受け止めるかは、その観客の好みやリズムによるだろう。しかし、たしかに設定に緩さがないとは言えない。そこをフィクションとしての魅力、良い意味での抽象化と言えればいいのだが、残念ながら、物語的な積み上げや尺のバランスが不十分だと思った。

そう言う話にするのであれば、後半はもっと厚みがほしかったし、尺の都合で泣く泣くディテールを削ったであろうことが分かってしまう。本来は後半にももうひと展開あるべきだが、劇場版の長さでは難しい。かと言ってあの物語の前半を5〜6話割くかというと…。うーん、むずかしい。