「FLEE フリー」感想
FLEE フリー、観た。アフガニスタン難民が誰にも明かすことができなかった半生を語るドキュメンタリー。取材者保護のためのアニメーション表現が、この想像を絶する陰惨な現実との橋渡しになる。抽象化されるからこそ、その奥行きの解釈をこちらに委ねてくれる。しかし何より「声」の映画だと思った。
ロシアの警官のエピソードはキツかったなあ。少女の目、イヤでも想像してしまう。ノルウェー船と難民船の対比はあまりにグロテスクだが、しかし、自分はおそらく本邦における在留難民たちからすれば、あの「見下ろす」船客なんだ、と。「マイルスモールランド」同様、感想はぜんぶ自分に返ってくる。
一方、デンマークの兄とのエピソード。アミンの中で、きっと輝いているであろう記憶。キラキラしてた。愛があった。見返したくない場面ばかりだけど、アミンの人生の大切な1ページを垣間見た気がした。すごく好きな場面。そして、アニメーションと現実の接点。あの演出にはうなってしまった。